無人店舗

日本と世界の無人コンビニの現状と将来に注目

2000年代はスタートアップの聖地はアメリカのシリコンバレーでそこからGoogleやFacebookなどのインターネット企業が生まれた。
2010年代になり、中国の技術開発力が世界でも注目を集めるようになり、Huaweiやアリババをはじめとする中国企業が世界中で勢力図を拡大しています。
中国はECや電子決済など国民のITリテラシーも日本よりも高く、新しい技術の浸透も世界の中ではとても早いです。

現在、小売業のデジタルフォーメーション化に置いて、無人店舗や無人コンビニが世界中で開発や実験をされており、2020年代で小売業の業界の構造や常識が一気に変わる可能性があります。
無人店舗や無人コンビニでは日本はアメリカや中国から一歩遅れているものの、コンビニエンスストアの領域ではオペレーション、商品数、マーケティングなど全ての面で日本が世界一位です。
現在、ローソンでは川崎の店舗で深夜のみを無人店舗にする実証実験を行っており、ファミリーマートも無人コンビニに向けて着々と準備を進めています。
そのコンビニの無人化のブームも日本に到来する日もそう遠くありません。

日本の無人コンビニの背景

アメリカではAmazon社が無人店舗のAmazonGoを2016年に開店して、無人店舗化を推進してきましたが、日本のコンビニ業界は無人店舗へなかなか参入していませんでした。
その背景は、日本のコンビニが便利すぎるあまり、デジタル化への変更の緊急性や重要性が低かったことや、すでにたくさんの店舗数がある中でコスト面や採算面で折り合いがつかなかったからです。

しかし、ローソンは積極的に「無人店舗」参入を試みており、2019年にはRFID(電子タグ)技術を用いた自動決済にも取り組んでいました。

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人口減少や高齢化社会の影響もあり、人件費の高騰も発生しています。また、24時間営業を改めて、深夜は営業しない時短コンビニも増加しています。
24時間営業を続けていくためにも無人店舗化、セルフレジの導入、店舗のデジタル化が必要になります。

無人コンビニの4つのソリューションタイプ

店舗に従業員がいないことを一括りに「無人店舗」と言いますが、テクノロジーの観点では「Scan & Go」「セルフレジ」「RFID」「Just Walk Out」の4つのタイプがあります。

「Scan & Go」「セルフレジ」の2つは技術的には以前からあるもので、「Scan & Go」はお客さん自身が商品をバーコードでスキャンし、アプリやWebサービスなどで決済します。
「セルフレジ」も同様でお客さん自身が商品をバーコードでスキャンし、支払いはレジの機械で行います。日本のスーパーなどにあるタイプはこのタイプです。
これらの方式はお客さんの「正しく全ての商品をスキャンする」という性善説が前提であり、レジの人件費が削減できても盗難や不正を防ぐことは難しいです。
世界最大のスーパーのウォルマートは「Scan & Go」でロス率が異常に高く、この方式で失敗しました。

 

一方、「RFID」は技術面で非常に高い技術力が必要です。
各商品の電子タグを設置し、スマートカートに入れられた商品の選別と価格の計算を自動的に行う方式です。
ローソンはパナソニック社と共同でRFIDでの在庫管理やレジの開発と実証実験を行ったが、在庫数が多く単価が低いコンビニで電子タグを設置するコストが収益上重くのしかかってしまいました。
アパレル専門店ユニクロの無人レジはRFIDの技術を活用しています。

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「Just Walk Out」は業界ではAmazon GO方式とも言われ、店内にカメラや重力センサーなどを設置し顧客の購買行動を認識する方式で、AIの行動認証とセンサー技術を掛け合わせた非常に高度な技術です。
入店後から退店までシームレスで行え、レジなどでの決算が不要のため消費者にとっては非常に便利なことも多いですが、「手に取った商品は元の棚に必ず戻す」「他の客や同行者に商品を渡すのは禁止」など制限も設けられています。
しかし、このモデルは技術開発のコストも高く、品番数も限りがあり、全ての小売業に向いているとは言えません。

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中国ではAmazonGOと競争するように中国でも無人店舗の実証実験は行われてきましたが、ほとんどのケースで失敗しています。
中国では2017年に2万5000カ所の無人売店、200店舗の無人スーパーが開業したが、2年以内にはほとんどの店舗で閉店しています。単に企業側が「無人化」を追求しても顧客の取っては有人無人はさほど重要ではなく、利便性の高い有人店舗に足を運ぶケースが多発しました。
日本でも中国同様に顧客のニーズに答え、高い技術力で無人店舗を開発していくことが今後の見通しになると思います。