近年、無人店舗やストアDxなどの言葉を耳にすることが増え、小売業やサービス業でのデジタルトランスフォーメーションが加速してきています。
小売業のデジタル化はECやオムニチャネルから、IOTやクラウドサービス、AIなど幅広くテクノロジーが介入しています。
その中でも話題なのがAIの画像認識や行動認識の技術になります。
小売業や消費財の領域でAI企業として有名なのがTraxで、小売業の商品棚をデジタル化する分野でTraxは世界トップです。
Traxは2010年に誕生し、買収を重ねながら成長し続けており、世界80か国以上でサービスが利用されており、独自の画像認識技術で消費財メーカーから小売業にまでソリューションを提供しています。
この記事ではTraxの会社概要や特徴をまず紹介し、提供しているサービス内容やテクノロジーについても見ていきます。
画像認識のAI企業Traxの概要と特徴
Traxは2010年に誕生した企業で、「画像認識の技術で小売業に革新をもたらす」をビジョンにシンガポールに本社を置き、アジアや北米、欧州、中東、南米にオフィスを構えています。
コカ・コーラやネスレをはじめ、ビール企業のインベブやハイネケンなど世界中のトップブランドを顧客に抱えています。
Traxは店舗の従業員が商品棚をデジタルな方法で管理できるようなソリューションを提供しており、小売業界にとって商品棚の配置ミスや欠品、値札の貼り間違いなどの問題を解決する技術を強みとしています。
また、ヨーロッパのAI企業QopiusやアメリカのSurvey.com、店舗施策ソリューションのPlanorama、買い物リワードアプリのShopkickなど世界中の企業を買収しビジネスの領域を広げてきました。
2018年7月に民間投資会社のBoyu Capitalなどから1億2500万ドル、2019年7月に代替資産運用会社のHOPUから1億ドルと積極的な資金調達も成功させており、AIを活用した画像認識の分野を代表するユニコーン企業と言えます。
Traxの画像認識サービスの内容
Traxは小売業の現場における在庫管理をデジタル化する仕組みを提供しており、商品棚の在庫状況をスマホで撮影すると、高度な画像認識技術でデータ化され、リアルタイムで情報が得ることができます。
Traxのサービスは具体的には店頭施策、マーケット測定、商品棚戦略、店舗管理の4つの分野に分かれており、ここではいくつか紹介します。
まず、店頭施策分野のTrax Retail ExecutionとTrax Retail Snapshotの二つを説明します。
Trax Retail Executionでは担当者が商品棚の写真を撮影し、送るだけで詳細なレポートがTraxから得られ、店頭の状態を把握したうえで、各店舗に適した売り上げ増加のアイデアを提供してくれます。
Trax Retail Snapshotは消費財メーカー向けのサービスであり、販促活動の改善などに役立ち、在庫切れが発生した際に、その原因だけでなく改善方法までをデータで得られるので小売業者との信頼関係も高めることができます。
次にマーケット測定サービスについてで、これは売上と実際の店舗の状況がどう関連しているのかを視覚化してくれるサービスで、商品の配置の仕方や隣接度などの細かな情報が売上高にどう影響するのかを膨大なデータセットとの関連から分析してくれます。
市場動向の分析により、地域や店舗ごとの商品の人気度、棚の配置方法による売り上げの変化などまでデータで得られます。
Traxの画像認識のテクノロジーを紹介
Traxは小売業用に特化した最先端のテクノロジーを有しており、保有するテクノロジーの優位性は正確性、速度、完全性、スケーラビリティ、柔軟性の5つに分けられます。
- 正確性
自社で保有する最先端のテクノロジーと品質保証の規律というルール面を組み合わせることで、どのブランドの商品であっても業界トップの精度(正確性)で認識できます。 - 速度
画像認識やディープラーニングの高度な技術により、画像から分析のための情報を非常に素早く読み込みことができます。 - 完全性
独自の機械学習アルゴリズムによる市場分析で商品棚の異常検知を可能にしました。 - 圧倒的なスケーラビリティ
99.95%という非常に高い稼働率のインフラを誇り、月に700万枚もの画像を処理できます。クラウドに依存しない強固なインフラ環境は貴重でしょう。 - 柔軟性
TraxのプラットフォームやレポートはWeb、モバイルともに幅広い評価指標を選ぶことができ、担当者の職種ごとに管理画面を使い分けることもできます。
人工知能の開発などに使われる機械学習の技術、数学的、幾何学的手法を小売業向けに応用するのがTraxの強みとなっています。
今回は画像認識のユニコーン企業Traxについて、会社概要やサービス内容、テクノロジーまで紹介しました。
Traxは急激な成長を続けており、2019年には日本への参入も発表しており、在庫状況や品切れ情報など小売店の商品棚をデジタルで管理できるようになれば、顧客満足度を大きく向上させることができると思います。
サービスの背景には非常に高度なテクノロジーが活用されており、Traxの技術力の高さがうかがえ、小売業界のデジタルトランスフォーメーションはさらなる拡大が期待されます。