無人店舗

無人店舗を展開するサインポスト社とは?小売業界に新しい風が吹く予感

近年、小売業界では人材不足の問題が深刻になるにつれて、駅構内の小型店舗やコンビニなどを無人化しようという動きが進んでいます。
そんな中、コンサルティング事業を展開するサインポスト社が、IT技術を駆使した無人決済システムを開発し、注目を集めています。

そこで今回は、無人店舗の実証実験を続けているサインポストを紹介します。

 

無人店舗を展開するサインポスト社とは?

サインポストは、公共機関などを支援するコンサルティング会社です。
主に金融機関や地方自治体・中央官庁に向けて、システムの企画や設計、運用のマネジメント支援を行い、経営改善策などを提案しています。
また、ソリューション事業部では、最先端のIT技術を活用しながら法人の経営や業務課題を解決し、アドバイザーとして変化に適応するための支援も行っています。

特にイノベーション事業部門では2016年、電気通信大学との産学連携で、AI(人工知能)を搭載した設置型レジ「ワンダーレジ」を開発し、小売業界の注目を集めました。
このワンダーレジは、既存のPOSレジと組み合わせることで、AIが複数の商品を一括で認識しレジの待ち時間を短縮し、店舗の人材不足を解消してくれます。

実際に、大学の生協内で2017年に実証実験され、ワンダーレジは一気に認知度を上げました。

 

サインポストの無人店舗とは?

サインポストは、ワンダーレジを大型店舗用に発展させた「スーパーワンダーレジ」も開発し、実証実験を行っています。
スーパーワンダーレジを店舗に導入すると、AIが搭載された画像認識技術により、レジ無しスルー型の無人店舗システムが構築できます。
特に注目されたのは、入店したお客様を追跡し手にとった商品を認識する技術で、購入金額の計算や決済まで自動で行うことで、人材不足の問題解消が期待されています。

また2017年、JR東日本スタートアッププログラムで、サインポストが開発したスーパーワンダーレジが最優秀賞を受賞し、大宮駅で初めての実証実験が行われました。

サインポストが実施した無人店舗の実証実験

サインポストは、大宮駅での実証実験を筆頭に、2020年現在も無人決済システムの実証実験を続けています。

2017年 大宮駅での無人決済システム実証実験

2017年に実施された実証実験では、スーパーワンダーレジを組み込んだ試験店舗を大宮駅の構内に設置しました。
店内の各所にカメラを設置し、棚から取り上げた商品と購入者を、AI技術が搭載された画像認識システムにより把握します。
また、購入者ごとで商品の購入額を自動的に算出し、電子マネーのSuicaで簡単に決済できる仕組みが構築されました。

2018年 赤羽駅での無人決済システム実証実験

翌年の2018年には、赤羽駅のキオスクでも同じく無人店舗の実証実験を実施しました。
前回の大宮駅では同時に1人しか認識しなかったのが、赤羽駅での実証実験では3人まで認識可能になりました。
また、商品を同時に取ったり棚に戻してもAIは認識し、商品の認識率も前回より向上させることに成功しました。

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2019年 株式会社「TOUCH TO GO」の設立

そして2019年、サインポストはJR東日本スタートアップとの合弁会社「株式会社TOUCH TO GO」を設立し、無人決済サービス事業を本格的に開始しました。
「小売業界で働く従業員の働き方改革」「お客様へのサービス向上」「人材不足の解消」を目的とし、翌年の2020年に無人店舗をオープンさせます。

2020年 高輪ゲートウェイ駅の無人AI決済店舗

サインポストは2020年3月、高輪ゲートウェイ駅に無人AI決済店舗の第1号店「TOUCH TO GO」をオープンさせ、小売業界内で大きな話題となりました。
高輪ゲートウェイ駅にオープンした無人店舗では、ウォークスルー型の完全キャッシュレス化を実現しました。
入店したお客様と手にとった商品をリアルタイムで認識し、決済エリアにお客様が立つと、タッチパネルに商品と購入金額が表示されます。
また、約200平方メートルの店舗面積で約600種類の商品を取りそろえ、営業時間も6時〜24時と、一般的なコンビニと比べても引けを取らない利便性を保っています。
現在、決済手段は交通系電子マネーのみですが、クレジットカードやその他電子マネーにも順次対応する予定です。
今後TOUCH TO GOは、小売店舗の労働力不足や地域店舗の運営維持といった課題を解決し、無人AI決済システムを軸にした事業展開が期待されています。

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サインポスト社は、コンサルティング事業で得た経験を活かし、無人決済システムを中心としたイノベーション事業部にも力を入れています。
また、高輪ゲートウェイのTOUCH TO GOはラボとして位置づけ、実践から得たデータをもとに改良した無人AI決済システムを、法人向けにパッケージ化し提供する予定です。
JR東日本も、鉄道会社として店舗サービスを展開したい思惑があり、サインポストとの連携で、今後も駅構内にAIシステムが搭載された無人店舗が増えることでしょう。

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