デジタルサイネージ

店舗の営業マンの「デジタルサイネージ」!その特徴とメリット・デメリット

ファーストフード店へ買い物へ行くと、注文カウンターに大きなデジタルのメニューボードが目につきます。
マクドナルドを頻繁に利用する方は、午前10時半の変化にお気づきと思います。
カウンター上部のメニュー画面が突然、静かに切り替わり始めて、朝食メニューからランチメニューに自動的にメニューボードが切り替わります。
デジタルメニューボードが導入される前までは、カウンター上部のメニューはプラスチック盤でしたので、店員が全てのパネルを付け替える作業をしていました。
中には、午前10時半の付け替え作業を忘れており、昼近くになっても朝食メニューが掲示されておりお客様から指摘されて慌てて付け替える、みたいな光景ももはや心配ありません。

もう1点、マクドナルドでは注文する場所と、商品を受取する場所が分かれています。
受け取り場所には、番号が表示されレシート番号と一致する番号に応じてお客様が商品を受け取る流れになっており、デジタルのボードが使われています。
マクドナルドの店舗の運営効率を大きく上げるために、デジタルのメニューボードが貢献されているようです。

このデジタルメニューボードは、「デジタルサイネージ」の一つです。
そんなデジタルサイネージを理解し、そのメリット及びデメリットを確認した上で有効活用していくための理解を深めましょう。

デジタルサイネージの定義と特徴

一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムによると、デジタルサイネージは、“屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディアを総称”としています。
また、ディスプレイの発展、デジタルネットワークや無線LANの普及とあいまって、施設の利用者・往来者に深く届く新しい市場が形成されている、と定義しています。

屋外や店頭の広告は古くから多く使われてきました。
ビルの屋上、交通機関での上部の広告など、いつでも、どこでも見かける、いわゆるPOP広告です。
そのPOP広告では、一度掲載してしまうと古くなってしまう恐れがありますが、電子的な表示をすることによって、定期的な更新や分かりやすい店舗の営業マンとして活躍できるのがデジタルサイネージなのです。

デジタルサイネージの特徴は大きく分けて、視認性の高さ・ターゲット広告の実現・メインテナンスの容易性の3点です。

  • 視認性の高さ
    デジタルサイネージは液晶などのディスプレイに案内や広告、プロモーション映像等を表示するので、わかりやすい広告となり、お客様の目につきやすくなります。
    POP広告と違って動画表示や音もつけられるテクノロジーのため、お客様の関心を引きつけることができ、印象にも残りやすくなります。
  • ターゲット広告
    例えば鉄道に導入されているデジタルサイネージでは、朝の通勤時間帯の社内や駅構内に設置されているサイネージではサラリーマン向けの情報を日中なら高齢者や主婦に向けた情報を流す、というように、ターゲット層に応じて効率よくプロモーション活動を行うことができます。
    テレビコマーシャルは番組の内容によってあるターゲット広告をしている例ですが、通勤電車のように、「ある特定の時間に特定の場所にいる」とう絞り込みにはかないません。
    そこには何らかの共通の状況が予想されるのでテレビのコマーシャルによる大まかな仕分けによる広告よりもより絞り込んだプロモーションが功を奏する可能性が高くなります。
  • メインテナンスの容易性
    デジタルサイネージはネットワークを通してコントロールが可能で、本社から各店舗に対していつでもリアルタイムな情報を発信したり、タイムリーに情報を更新することが可能です。
    広告内容を変更する場合でも、POP広告では、変更のための時間もコストかかりますが、デジタルサイネージはペーパーレスなので、費用も時間も大幅に削減されます。

 

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デジタルサイネージの活躍できる小売店舗のニーズ事例

デジタルサイネージは、ファーストフード店舗でのメニューボードの先のイメージが強いですが、3つの特徴を生かすことができる、小売店舗のニーズがあれば、デジタルサイネージの活躍の場がひろがるはずです。小売店舗での活用事例をいくつかご紹介します。

・無印商品でのデジタルサイネージ導入
無印良品池袋西武では、道路に面したショーウィンドウに大型液晶ディスプレーを設置し、通行する人々を店内に誘導するよう、12面を効果的に活用して映像を表示しています。
テレビCMやウェブサイト、印刷物のコンテンツをデジタルサイネージに流用し、お客様に繰り返し同じ情報を提供することにより、情報の認知度向上を図っています。

・スーパーマーケット ライフでのおススメ商品の案内・レシピ動画紹介
ライフでは、店内おススメ商品の近くに各商品を訴求ため、大型のデジタルサイネージを設置しています。単純にお知らせを流すのではなく、店内でのお買い物を楽しんでいただく為に、レシピ動画を流している。Webチラシやアプリなどオンラインで配信される情報やコンテンツと、売り場やサイネージなどのオフラインを連動させ、来店客にシームレスな体験を提供していく予定です。

このように小売店舗でも視認性の高さ、ターゲット広告の特徴及びメインテナンスの容易性を生かしたデジタルサイネージの導入が進んできています。

小売業でのデジタルサイネージの導入事例を5つ紹介百貨店、Zoff、ユニクロなどでのデジタルサイネージの導入事例とその効果について説明しています。...

デジタルサイネージのメリット

デジタルサイネージを導入する店舗に対するメリットとしては、「ひとめにつきやすい」「効率的」「陳腐化のリスクをなくす」の3点です。

  1. 一目につきやすい
    POP広告に比較して、人の目を引き付けることができます。
    動画や音声・音楽を流していくことで、新商品の告知やイベント情報など様々な情報で相手の目を引きつけ宣伝や告知をすることができます。
    デジタルサイネージの大きさも自由に設計ができますので、無印良品の例の様に、強烈なインパクトを与えることも可能です。
  2. 効率的
    POP広告では、ポスターになりますので、デザイナーにデザインを考えてもらい、印刷会社に発注し、納品する期間がかかります。
    デジタルサイネージでは、デザインが決まった段階ですぐにデータ化する事ができ、時間の短縮にも繋がります。
    期間限定の広告や案内などをPOP広告で行うのはコストパフォーマンスの観点で、効率的ではありませんが、デジタルサイネージは、ポスターの時よりも低コスト且つ短納期で行うことが出来るようになります。
    また、ポスターなどでは1枚に対して限られた情報しか載せられませんが、デジタル化により、スライドショーのように、時間帯ごとに表示内容を変えるなど、省スペースでたくさんの情報を提供する事ができます。
  3. 陳腐化のリスクをなくす
    POP広告と違い、デジタルサイネージは印刷する必要がありません。
    データを更新するだけで表示内容を変更することができますので、複数店舗に跨ぐような場合には、POP広告では、差し替えるのに手間も人件費がかかる一方で、デジタルサイネージはネットワーク回線を使うことで離れた場所から、早期に表示内容を変更することができますので、差し替えにかかる手間はもちろん人件費を削減することができます。

デジタルサイネージのデメリット

多くのメリットがある一方で、デジタルサイネージのデメリットは初期導入コストとデジタル機器特有の運用に関連しています。

  1. 初期導入に掛かる費用が高め
    デジタル機器を導入する訳ですから、POS広告に比べると初期費用がかかってしまいます。
  2. 故障のリスク
    デジタル機器ですので、どうしても故障が起きてしまうことはあります。パソコン同様に、故障時には保守交換を受けることになりますが、その間、広告ができないことになってしまいます。交換用の機器を店舗に予備としておいていく、迅速な保守体制を敷くなどの対策が考えられます。

デジタルサイネージは更に進化しています。Japan Taxiに搭載されているデジタルサイネージの広告は、AI機能を持っており、タクシーに乗車されている方の性別・年齢層をサイネージ内部のカメラがAI判定し、その方に応じたターゲット広告を流すという仕組みです。
また、同様の仕組みとして、「次世代自動販売機」と呼ばれるものがあります。購入者の顔の映像から年齢・性別を判断し、その人に合っていると思われる商品を勧めてくれます。デジタルサイネージ+AI機能によって、今後、デジタルサイネージの有効性が更に広がっていくことでしょう。

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また、デジタルサイネージを導入する上でのメリット、デメリットを整理しました。デメリットを補完する機能が進化して、設置も容易になってくることで、デジタルサイネージはもはやPOP広告の意味合いを越え、「店舗の営業マン」として、欠かせない店舗資源のひとつになっていきます。AIやVRなどの最新テクノロジーとのシナジーが生まれ、映画のような臨場感を伴う広告を通した顧客体験できる日が来ているのかもしません。

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