フードテック

飲食業の省人化や効率化に向けたデジタルの活用

飲食業界では食の多様化やデリバリーやテイクアウトサービスの発展やコンビニのイートインの充実などの消費者行動の変化、少子高齢化に伴う人手不足や激しい強豪との差別化のためのサービス強化などあらゆる問題に直面しており、競争が激しくなっています。
その中でもっとも重大な問題は人手不足であり、外国人やシルバー人材の採用が必要な段階に来ています。
しかし、それでも人手不足の問題は解消されず、次の打ち手として考えられるのが、飲食業のオペレーションや人が行なっていたことをデジタル化やIT化をし、最小限の人で店舗運営ができる状態を構築することです。

飲食店はこれからデジタルトランスフォーメーションに向けて舵を切る必要があります。
今回は飲食業の省人化や効率化に向けたデジタルの活用について説明します。

飲食業の省人化や効率化が必要な理由

小売業や運輸業や飲食・宿泊業界などサービス業界の人手不足は深刻になっており、飲食・宿泊業界の離職率は非常に高く、業界全体で課題解決に向けた取り組みが急務になっています。

飲食業は市場規模は約25兆円と大きいですが、実態は人口減少による支出の減少を、一人当たりの単価を上げることと訪日外国人の増加による消費で補ってきました。
拡大する市場に対して、飲食業界の人手は足りておらず、もともと人材の確保と定着に課題があるところに、人件費の高騰や諸コストの上昇が拍車をかけています。
このような状況の中で、AIやIoT、ロボットの活用など最新技術を用いて人手不足を解消しようとする動きが出てきています。

業界全体として、人手不足にどのように立ち向かっていくのか、そしてどのように省人化に向けて取り組んでいるのか、各事例を見ていきたいと思います。

飲食業の省人化の技術

飲食業界のデジタル化やIT化をレストランテックまたはフードテックと呼ばれるようになって来ました。

レストランテックはアメリカが発祥で、大手のレストランチェーンを中心に飲食業務のあらゆる取り組みをITを駆使して自動化しようとする取り組みが盛んになってきています。
日本はアメリカから数年遅れで同様の動きが見られるようになり、飲食店の予約から、待ち時間不要の決済まであらゆるサービスが行われており日々顧客体験が豊かになりつつあります。
例えば、オンラインオーダー、デリバリー、予約・テーブル管理、人員配置・勤怠管理・店舗管理、調理ロボットなど、そのサービスの範囲は顧客体験にとどまらず、店舗運営も含め多岐にわたります。

レストランテックとは、単にレストランとテクノロジーの造語という意味だけではなく、飲食業界の大きな可能性を秘めたものと言えます。

飲食業の省人化の事例

 省人化の取り組みをいち早く行った例として、株式会社すかいらーくホールディングスの「セルフレジ」の導入があります。
会計時の混雑解消と同時に、顧客の待ち時間を減少させることにも成功し導入を拡大していきました。

また、顧客のスマートフォン一つで予約から決済まで行う「モバイルオーダー・モバイルペイ」の実践例では、スターバックスやマクドナルドが挙げられます。
「PICKS」や「o:der(オーダー)」などテイクアウトに特化したものから、「SelfU」や「Okage Go」など店舗利用型のものまで多様なサービスが展開されています。
キャッシュレス推進の波も後押しし、大きく広がったこの流れは今後も継続することが予想されます。

また、飲食業のSaasサービスでも紹介したオンライン予約・顧客台帳サービスを運営する「TORETA」や、ロボット活用の事例で紹介したコネクテッドロボティクス株式会社の「Octo chef(オクトシェフ)」、そして高まるデリバリー需要で注目される「出前館」なども、レストランテックの実践例と言えるでしょう。

これらを導入することによるメリットとしては

  • 予約時・注文時のミスの減少
  • 業務効率化の推進
  • 顧客の待ち時間の減少
  • ビジネスチャンスの拡大

などが挙げられます。特に、人による管理から機械による管理やオートメーション化が実現されることは業界にとって大きな意味を持っています。

反対にデメリットとしては、業界の性質として、入れ替わりが激しく、アルバイトや派遣など非正規雇用の人材も多いことから、最新技術へ対応できるか否かが問われます。

上記であげたサービスはローンチしたばかりのものが多く、UI・UXデザインもまだまだ試行的なものが多いのが現状です。
各社参入しており、多くのサービスが乱立している印象も否めず、数年以内に数社に絞られると予想できます。
また、これらはインターネット上のサービスである以上、セキュリティへの懸念も常につきまといます。

しかし、業界としてはこのような最新技術を積極的に取り入れる流れを維持・向上させ、課題解決に更に邁進していきたいところです。

深刻な人材不足に悩む飲食業界の課題解決に向け、多くの企業がサービスを展開し、その課題を乗り越えようと日々努力を重ねています。
これら新たなサービスは、運営側だけでなく、顧客側にも大きな利益を与えます。

 

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