リテールテック

小売業でのロボット活用の可能性を調査

消費者がECで買い物するようになり、メルカリなどのC to Cでの商品の売買が一般化し、若者の消費がモノからコトへと移行し小売業のあり方が変わってきています。
消費者の行動や思考の変化に応じ、お店側も変化しなければ厳しい競争の中では生き残れません。
加えて、小売業では慢性的な人手不足の問題があり、コンビニなどで24時間営業を取りやめるなど工夫をしながら対応しています。
このような変化や競争が激しい現代の小売業において、IT化やデジタル化は必須で、その中でも「人がしていた業務を機械が行う」ために小売業でのロボットの導入が進んでいます。
今回は小売業界でのロボットの導入の特徴や活用例を解説します。

 

小売業でロボットの活用が期待される理由

小売業界は人材不足に大きな問題があり、過重労働や労働環境の整備の面などで労働条件にフォーカスが当たることがよくあります。
長時間労働を強いられ、土日は休みにならず給料が決して高い業界ではないという理由から敬遠する人も多いのが実状です。
また、消費税増税など社会環境の変化が大きく、日用品や食品等生活必需品は比較的安定していますが、アパレルや嗜好品などに関しては外部の影響を受けやすい業界となっています。
インターネットの進展により、Amazonや楽天などECとの競争が激化し、実店舗に求められる顧客体験が従来とは大きく変わってきています。

このように変化の激しい環境の中で、顧客がITリテラシーやインターネットの活用をするようになった反面、小売業ではデジタルトランスフォーメーションが遅れており、結果としてITを活用した店舗への集客や店舗運営の効率化や省人化ができていない状況です。
そのような小売業にも少しづつロボットが導入され始めています。

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小売業におけるロボット活用事例

小売業界でのロボット活用例として、日本国内では接客やイベント等の集客目的が多いと考えられています。
様々な店舗で見られるようになった「接客ロボット」の代表例として挙げられるのはソフトバンクが開発するpepperです。
接客ロボットは主にユーザーの質問や要望に対して、接客対応や施設・商品案内などを行います。

pepperはヤマダ電機やロフトなど多くの店舗で導入されており、ヤマダ電機では少子高齢化や人口減、ネットショッピングの拡大が進む中で従来から行っていた折込チラシでのマーケティングに頼らずリアル店舗へ集客する方法を模索し、pepperを活用したとのことです。
その他、デモンストレーション販売などの場面でも、pepper導入による販売促進効果が報告されるなど、接客ロボットの可能性はまだまだ広がっています。

小売業でのロボット活用におけるメリットデメリット

小売業界におけるロボットを導入するにあたり、一番のメリットは働き手を確保できることです。店頭でお客様をお出迎いして、要望を確認して、担当者に引き継ぐ行為ができれば、人間一人と同じ役割になります。
故障しない限り働いてくれるというのは、深刻な人手不足に悩む小売業界においては役に立ちます。
加えて、従来人が行ってきた業務を代替することにより、労働環境の改善やコスト削減が見込まれます。
また、インバウンドで外国人が増えてきている中で英語やその他の言語などで対応に苦戦している小売業も多く、外国人のお客様にちゃんと対応できず、販売機会を見逃してしますケースもありますが、ロボットの場合は多言語対応もしているため、インバウンド需要への対応も可能です。

一方デメリットとしては、従来のスクラッチ型システム構築と同様、多額の初期費用がかかり、月々の運用コストもかかります。AIなど最新技術はまだ発展途上のものである以上、接客が不十分であったり、自然な会話が出来ない等の懸念はつきものです。

ものすごいスピードで開発もされており、年々質や機能のいいロボットが開発されていますので、3年もするとだいぶ性能で劣ってしまいます。
工場のように決められた時間で決められた工程を大量にこなす場合、ロボットを導入し効率化を図ることは容易ですが、小売業界のように一人が複数の作業を行うとなると、簡単ではありません。
また、動線の整理が不十分であったり、各業務にどれだけの時間がかけられているか等可視化できるものが多くなく、どのように改善すればいいのか不明瞭なのが現状です。

ロボットは一人で動くことはできず、人が電源を入れて、セットして始めて起動するため、ロボットを活用するには従業員のサポートが必要不可欠のため、従業員のケアや教育も重要になります。

 

接客ロボットは決して安くはないですが、導入によって作業の効率化や、生産性の向上が期待できます。また、最新技術を取り入れることで、新たな顧客体験を創造することにも繋がります。

 

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