フードテック

飲食業でのロボット活用の可能性を調査

人手不足・人件費高騰の中、存続が危ぶまれる業界が少なく、飲食業界も例外ではなく、この状況の中で打開策として、フードデリバリーやクラウドキッチンなどの新サービスも人気が出てきています。
取り巻く環境として、所得低下に伴い消費抑制や節約志向、人材だけでなく原材料の調達コスト上昇、そして少子高齢社会の進展など多くのマイナス要因があります。
加えて、働き方改革の言葉に代表されるように、長時間労働や過酷な労働に対する世間の反応は厳しくなっているのが現状です。
一方、AIやIoTなどテクノロジーの進歩に伴い、最新技術で課題を乗り越えようとする流れが盛んになりデジタルトランスフォーメーションという言葉も浸透してきました。

数ある新しいテクノロジーの中で人手不足解決に向けて直結するのが「人の行う業務を機械が行う」ことのできるロボットになります。回転すしなどでシャリを握る機械などはありましたが、そこにはインターネット接続や機械学習の性能はなく、設定に応じて調理を行なっていました。
現代のテクノロジーで期待されているロボットにはインターネット通信ができ、状況によって判断できる事で人の代わりを果たす事です。

この記事では実際の現場でどのように活用されているのか、調理ロボットの可能性について調査します。

飲食業におけるIoT導入の特徴や事例飲食店やレストランにおいてIoTの種類や導入する課題などをまとめています。...

飲食業で調理ロボットの活用が期待される理由

飲食業界は離職率が高い業界として知られており、日々の通常業務に加えて、バックオフィスでの業務もある為、長時間労働や時間外労働が多くなっています。
また、アルバイトやパートなど非正規雇用社員も多く、人材の入れ替わりが頻繁で、モチベーション低下や職場へのロイヤリティーの低さが問題視されています。
加えて、最低賃金は向上し続け、人手を確保するのは容易ではなく、業界の競争の激しさゆえ、将来性に不安を感じる人が多く、人材の流出に歯止めがかからないのです。
このように、飲食業界の課題感は「人材難」に起因する部分が非常に多いのが現状です。

調理ロボットの例として、ソフトクリームを作るロボットやサラダを自動で調理する自動販売機型のロボットなどがあります。
中国などではチャーハンやチンジャオロースのような炒め物を自動で調理するロボットが開発されています。
加えて、ペッパー君のような接客ロボットや配膳ロボットなどもあり、調理以外でもロボットを活用するチャンスはありそうです。

飲食業で話題の調理ロボット「Octo Chef」

たこ焼き調理ロボットの「Octo chef(オクトシェフ)」がニュースなどにも取り上げられる事が多く話題になっています。
たこ焼き調理ロボットは、約20分の調理で、最大12人分のたこやきを調理し、全てのたこ焼きが満遍な出来上がりになるようにAIを用いて調理をしています。
調理したたこ焼きのトッピングや接客やレジ業務は人が行うように分業しています。

調理ロボットのたこ焼き職人「OctoChef」とはAIを活用したたこ焼き調理ロボットの「OctoChef」の特徴について紹介しています。...

飲食業の調理ロボットのメリットデメリット

調理現場へのロボット導入について、メリットは調理の品質安定性があり、ムラや量の差・ミスなく作業が可能です。また、ロボットの精度が高まれば量産やスピードアップが今後期待できます。
チェーン店などで同じ調理を量産する飲食店には適していますが、独自の料理や顧客の要望に合わせて料理を変更する飲食店には向いていません。
また、調理ロボットは最初は新鮮さもあるため、それ見たさに集客や調理ロボット自体を見せるキッチンとして、エンターテイメント性を強調する事ができます。
そして、現代の一番の日本の飲食業の課題である人材不足の問題に対して、業務の効率化や労働の代替になります。

一方でデメリットは、市場として未知数で不確定要素が高い上、費用も高く導入コストが見合わない事です。
ロボットの初期費用は数百万円以上し、3年もすれば機能がアップデートされたロボットが開発されることも容易に想像でき、導入に躊躇します。

また、小さめの飲食店やメニューの多い飲食店やシェフが丁寧に拘りを持って調理している飲食店にはロボットの導入は適していません。
加えて、ロボットを活用するには従業員のサポートが必要不可欠のため、従業員のケアや教育も重要になります。

 

飲食業界でのロボット導入は、まだまだ他の業界に比べて進んでおらず、労働力の完全な代替や、フルオートメーションが実現するのはまだまだ先の話になると予想されています。

今後もしばらくは人間とロボットが協調した働き方を模索していくことになると思いますが、導入事例が増えることにより、飲食業界の人材難や、労働環境改善などが期待されます。

【食×IT】フードテックとは?生産・調理・流通・販売など「食」に関することのデジタルトランスフォーメーション「食」と「テクノロジー」を掛け合わせた新たなビジネスのフードテック。幅広い領域で革新が起きているので、分野ごとに分けて説明しています。...