ITやデジタルが各業界で活用されるようになり、その業界に特化したITサービスを◯◯×Tech(テック)と呼ぶようになりました。例えば、人事関連ではHTtech、教育ではEDtech、決済などではFintechなどで多くの言葉が作られました。
小売業界もデジタルトランスフォーメーションが進んでおり、小売業×IT化をRetailTech(リテールテック)と呼ぶようになりました。
この記事ではリテールテックについて紹介します。
リテールテックとは
リテールテックとは、小売業の仕入れや物流の上流工程から販売や店舗運営やマーケティングなどの下流工程をIT化やデジタル化をすることによって、売上や収益の拡大、省人化や簡易化による効率改善を実現することです。
リテールテックに含まれる範囲は幅広く、上流では物流の業務改善や倉庫のロボットの運用などがあり、下流工程では在庫管理の管理システムや省人化のためのセルフレジやモバイルPOSや防犯カメラやAIによる画像認識や接客ロボットがあります。
また、販売チャネルの点ではECやライブコマース、フリマアプリのCtoCや生産者が消費者と直接繋がるD2Cなどがあります。
これら小売業のマーケティングの手法にOMOやオムニチャネルやOtoOなどがあります。
このようにリテールテックは小売業のデジタルトランスフォーメーション やストアDXなどの総合的な意味合いで使われることが多く、その中には細かく分類することができます。
小売店の開業や運営は多額の初期費用も必要で、キャッシュの支払いが先行することから、「リテールテック」のイメージも費用が掛かり、大規模で店舗の改修などが必要なのでは?または大企業が巨額の投資をして取り組む技術改革などを思い浮かべる人も多いです。
確かに、大企業を中心に多額の資金を投入して技術開発を行なって、無人店舗や接客ロボットやAIの行動認識を開発しているものもありますが、モバイルPOSやECなどすでに導入しており、簡単に安価で利用できるサービスや技術もたくさん含まれています。
多くの小売店で導入がしやすかったのは、ECです。自社ECやAmazonや楽天のようなプラットフォームへの出店などあり、手をかけずに24時間365日注文を受け付けられることなどがメリットです。
リテールテックの過去と未来
2000年代にインターネットが急速に普及して、「IT」の世界では技術が日々進化していることを「ドッグイヤー」という言葉で表していました。そのぐらい、半年や1年でトレンドが大きく変化することが当たり前ですが、一方で、IT化の影響をあまり受けずに変化してこなかった市場が「リテール(流通・小売)」です。
2010年代になり、ECやセルフレジなど少しづつIT化が導入され、2020年代に無人店舗や接客ロボットが導入されてそれらが一般的になると予想できます。
リテールテックの国内市場規模は2019年が約5,600億円で、2030年には8,800億円に成長すると予測されています。
その中でも「RFID(Radio Frequency Identification)タグ」の技術を活用した在庫管理や無人レジが注目されており、バーコードで人がスキャンするよりも早く正確で、同時に商品管理ができる点からも注目度が上がっています。
国内ではユニクロが導入しており、小売業の中でも注目を集めています。
RFIDタグの普及に伴い人手を不要とするセルフレジの市場拡大も予測されており、2030年には2019年の約13倍になると予測されています。
日本のキャッシュレス化率は2015年時点で約18.4%で、政府は2025年までに40%にすることを目指しています。
他にもAIを活用した技術が注目されており、データ分析や需要予測や行動認識が店舗運営の効率改善や売上改善に繋がります。
近年のリテールテックのトレンドは決済やPOSです。Paypayなどのキャッシュレスの市場の盛り上がりやインバウンド施策による外国人の増加による海外の決済手段の導入などが小売業での売上に大きく影響してきています。
キャッシュレス導入によってレジでの決済の時間が短縮されてたり、つり銭の間違えなどを防ぐことができます。
2019年10月1日に施行される消費税増税などもあり、会計の複雑性が高くなっていることも決済やPOS市場が盛り上がっている要因です。
加えて、小売業を直面する大きな問題の一つに人口減少による労働者の不足があります。そのため、採用したくても採用できない、働き方が多用した昨今採用しても定着せずにすぐに退職してしまい、人材の採用や育成に課題をもつ小売店はたくさんあります。そのため、省人化や簡単に操作できるタブレットを使用したモバイルPOSや無人レジの導入が進みました。
レジでは「バイオメトリクス認証を活用した決済」なども生まれてきました。
日々業界の状況や消費者の行動が変わる中でリテールテックの未来を予測することは難しいですが、技術革新が進んでいくことは確実ですので、常に情報収集などが必要です。