フードテック

【飲食×IT】レストランテックとは?飲食業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)

あらゆる業界や産業でIT化やデジタル化が進んでおり、飲食業界・外食業界でもインターネットサービスやロボットなどの導入が進んでいます。
デジタルトランスフォーメーションは大手のみが導入する問題ではなく、中小企業や一店舗運営の飲食店やレストランまで導入が必要です。
その背景としては、コンビニ弁当などの高品質化、フードデリバリーやテイクアウトの普及、キャッシュレスの支払い方法の変化、など業界のトレンドや顧客の需要が急速に変わっています。

日本でも飲食店のIT化やデジタル化が進んでおり、IT×飲食をレストランテックという言葉で表します。
この記事ではレストランテックについて解説します。

レストランテックとは

レストランテックとは飲食店・レストランのITやIoTやロボットなどのテクノロジーを用いる総称であり、外食産業の生産性向上や人手不足、収益改善などの課題を最新のテクノロジーを活用して解決をしています。
日本の飲食業界は慢性的な人手不足に悩まされており、少子高齢化が進みその傾向は加速すると予測できます。
時給をあげても採用ができず、定着率も低い状況で、採点賃金が年々上昇しているため、経営が厳しくなっているため、テクノロジーの力が必要となっています。
加えて、FAXや電話での古いやり方が残っており、テクノロジーの力で利便性の向上がする余地が残っています。
そして、雑務や手間を省き、人間が行うからこそ価値の生まれるサービスやおもてなしに時間を費やすことが出来ます。

アメリカではレストランテックへの注目度が高く、毎年多くのスタートアップ企業が生まれ、成長産業です。
アメリカではサラダを自動で作るロボット自動販売機のChowvoticsやデリバリートラックでピザを作るZuma pizzaなどユニークなサービスも生まれています。

飲食業におけるIoT導入の特徴や事例飲食店やレストランにおいてIoTの種類や導入する課題などをまとめています。...

レストランテックの種類

レストランテックは総称で、「顧客体験」「店舗運営」「設備」の3つに分類することができます。
テクノロジーの種類もプラットフォーム系サービス(SaaS)、調理ロボット、デジタルメニュー、ハードウエア・キッチン系などに区別することができます。

「顧客体験」はモバイル決済や予約管理など顧客にとって便利や満足度を向上することです。また、SNSやインターネットマーケティング活動を通じて、最適な情報を提供したり、関係性を構築することも含まれます。
最近話題のデリバリーサービスもこの体験価値に該当します。
「店舗運営」は仕入れや在庫管理、従業員の採用やシフトの管理など店舗運営の効率化や簡易化をすることです。
「設備」POSシステムやロボットの導入することで効率化や省人化・無人化を行うことです。
レストランテックの「顧客体験」「店舗運営」「設備」に分けて紹介します。

レストランテックの種類①:「顧客体験」

  • 消費者評判・コメント管理:顧客からの意見や評判を管理する顧客満足の向上するための管理サービス
  • マーケティング分析・CRM:顧客ごと一人一人と関係性を構築するための顧客管理システム
  • SNS:インスタグラムやツイッターなどを利用して集客の実施
  • 検索:Googleマイビジネスへ登録し、「地域+料理名」での検索で、Googleで上位を獲得
  • ロイヤリティ・リワード:リピーターや常連などにポイント還元や会員特典等を提供するサービス
  • 企業向けケータリング:法人向けにランチやディナーやパーティセットを提供するサービス
  • 注文:デリバリーを受付、配達するサービス
  • 予約メディア:食べログやぐるなびなどの予約サイト
  • 予約管理:予約サイトからの予約や電話予約を管理するサービス
  • 電子決済:キャッシュレスやQR決済などの消費者向け電子決済サービス

「顧客体験」は顧客を集客するためのマーケティングや満足度を向上するためにIT化を進めています。
CRMマーケティングでは顧客の情報をデータベース化し、一人一人に合わせたマーケティングや顧客とのコミュニケーションを行います。
例えば、誕生日の日にクーポンを送付したり、前回来店時のメニューなどを元に今回の料理の提案などをします。

CRM施策とは?集客する方法!?【小売店・飲食店・宿泊施設・To C向け】小売店や飲食店の店長やオーナー向けに、CRMで集客力をアップする方法を解説しています。...

続いて、消費者の行動が変わってきており、デリバリーやキャッシュレス決算などが普及しつつあります。
消費者行動の変化や影響を最初に受けるのはコンビニと飲食店と言われています。
Uber Eatsをはじめ数年でデリバリーやテイクアウトが一気に普及して、消費者の食生活や外食への価値観が変わってきています。
そして、支払いもPaypayなどが普及して、どんどんキャシュレス化が進んでいます。

集客方法にも変化があり、以前までは食べログやぐるなびのような口コミサイトを通じての集客がほとんどでした。
しかし、消費者はグーグルで地名と料理名を入力するため、グーグルマイビジネスで店舗を登録して、グーグルで上位に表示させるMEOという手法が取られるようになりました。

 

レストランテックの種類②:「店舗運営」

  • 従業員勤怠管理:飲食店の従業員の勤怠管理サービス
  • 従業員教育:採用した従業員を早期育成するためのサービス
  • 受発注・在庫管理:飲食店における食材の仕入れや・材料の在庫を管理サービス。
  • テーブルオーダー:お客様がテーブルからタブレットで注文するサービス
  • ウエイト管理:店舗の混雑や空き状況を確認するサービス
  • プライベートダイニングサービス:飲食店の貸し切りサービス提供を行うサービス。
  • フードロス:廃棄商品を二次活用・流通を行い、廃棄を低減させるサービス。
  • 経理・財務:飲食店に関わる経理や財務をまとめて行うサービス。

飲食店は従業員を採用して、教育して、最高のサービスを顧客に提供する必要がありますが、人手不足により採用が難しくなっています。
そのため、1日から即日採用するサービスなどもあり、従業員の流動性が高まっています。

人材不足から店舗運営の省人化や効率化を目指すようになり、そこで鍵になるのがPOSやレジです。
小売業では無人店舗などがありますが、飲食店やレストランでも接客を減らすために券売機を導入するお店は増えてきました。
以前は小さな飲食店はPOSを導入していないお店が多かったですが、最近ではタブレット型のモバイルPOSを導入している店舗も増えてきました。
モバイルPOSは狭いスペースで対応できるとともに、在庫管理や仕入管理や予約管理の各サービスとも連携することができるため、業務をシームレスに行うことができます。

タブレット型のモバイルPOSが飲食店やレストランにオススメの理由飲食店やレストランが軽減税率やインバウンドにも対応するためにタブレット型のモバイルPOSがオススメな理由を説明...

続いて、SDGsでも注目を浴びているフードロスを展開するサービスも増えています。
毎日のように日本の飲食店から多くの廃棄食材が発生しており、その中には実はまだ食べれる食材がたくさんあります。
その食材を無駄にしないために、食材の二次流通や消費者へ値引きの販売などでフードロスを撲滅しようとするサービスもあります。

フードロスに取り組む企業はたくさんあります。アプローチ方法などは違いますが企業では「FOOD PASSPORT」「ReduceGO」「TABETE」「Kuradashi」「たべるーぷ」「Tabekifu」などがあります。

フードロスのサービスや事業のまとめ!スタートアップ事例も多数フードロスに関する現状をまとめ、その課題に取り組む事業やスタートアップを紹介...

レストランテックの種類③:「設備」

  • 調理ロボット:キッチンで調理を実施するロボット
  • 接客ロボット:フロアでお客様を案内や対応するロボット
  • POS:Point-Of-Saleでレジをデジタル化するサービスで、タブレット型のモバイルPOSが有名
  • Wifi:インターネット環境を整えるWifiサービス
  • デジタルメニュー:メニューをデジタル化し、更新や変更をしやすくするサービス

「顧客体験」「店舗運営」ではソフトウエアやデータを活用したサービスが多かったですが、「設備」はハードウエアを用いたサービスになります。

店舗自体がハードで、近年はキッチンを共有するクラウドキッチンや客席を持たないデリバリー専門のゴーストレストランなど新しいタイプのレストランが生まれています。

クラウドキッチンとシェアキッチンとゴーストレストランの違いとは飲食店に新しい業態の「クラウドキッチン」「シェアキッチン」「ゴーストレストラン」の違いについて紹介してます。...

また、店舗運営効率化のためにロボットを導入して、接客や配膳や調理など様々なポジションで活躍しています。

レストランテックの導入は大手や個人経営など問わず、必要なパートへは導入が必要です。
今後の顧客の消費行動や需要が大きく変化する中で、レストランテックは顧客満足向上や集客に直結します。
新規開業する際もレストランテックを前提に出店計画や内装を考えるようになります。

この記事ではレストランテックについて紹介しました。
市場規模は年々伸びていくことは確実で、日々新しい技術が生まれていきます。