毎日、AI(人工知能)を活用したサービスを開発または導入した企業の事例がニュースを賑わせています。
小売業界へも、AIを活用したシステムが導入されつつあります。
例えば、店頭に設置したAIカメラを使って、来店人数のカウント/性別・年齢の推定/行動パターンなどを分析し、マーケティングなどに活用しています。
AIを活用したソリューションが小売業界にどの様な変革をもたらすのか、PKSHA Technology(パークシャ・テクノロジー、以下PKSHA)という企業のサービス展開を見ていきます。
国内のAI研究者を代表する一人、東京大学の松尾豊特任准教授が技術顧問になっていることでも有名な企業です。
PKSHAのAIとは?
AIという言葉は考え方の総称であり、非常に分かりにくい概念です。
PKSHAは、AIにより課題解決をするための機能を特化したアルゴリズムモジュールを複数開発しています。
そして、それらを各企業が保有しているソフトウエアの機能として提供しており、いわゆる“APIまたはASP”としての提供です。
最も有名なモジュール例はLINEチャットボットへの組み込みで、LINE社が提供するチャットボットのエンジンとしてPKSHAの提供するAIアルゴリズムモジュールがAPIとして採用されていました。
PKSHAは、8つのAIアルゴリズムのモジュールを用意されています。
- テキスト理解モジュール(Dialogue_1):テキストの内容を理解し、テキストを分類する
- 対話モジュール(Dialogue_2):自然言語処理技術を応用して、対話・応答の制御を行う
- 画像/映像解析モジュール(Recognizer):画像や映像データ内の物体認識を行う。
- 行動理解モジュール(Logger):膨大なユーザー行動データを利用可能なデータ資源に変換する。
- 推薦モジュール(Recommender):商品推薦や情報推薦などの情報の出しわけを行う。
- 予測モジュール(Predictor):ビッグデータとしての時系列情報に対して、未来予測を行う。
- 異常検知モジュール(Detector):機械の故障検知や不適切コンテンツの検知に利用される。
- 強化学習モジュール(Reinforcer):行動履歴からの学習を行う。
テキストを使った分類や自動対話、カメラの画像解析および行動解析、ECサイトでのレコメンデーション、そしてビックデータを元にした予測分析のエリアに特化した強みをもっています。
小売業界での活用も期待できる、AIモジュールを組み合わせることによって、4つのProductを“AIサービス”として提供をしています。
PKSHAのAIサービス
- BEDORE(べドア)
チャット対応とFAQ対応を自動化するソリューションです。Web接客、コールセンターの対応を自動化または、対応者をサポートすることで半自動化を実現することが可能になります。先のLINEのチャットボットに使われていました。 - RUS(ホルス)
小売店舗のカメラを活用して、来店されたお客様の属性・姿勢・行動・感情の検知を行う画像解析ソリューションです。
不審者の検知、入来店の実態調査、混雑予測などカメラデータを活用した課題解決が可能です。 - CELLOR(セラー)
リアル店舗を持つ企業様向けのデジタルマーケティングソリューションです。顧客情報のデータ分析を自動化 / 半自動化する事により、優良顧客の離反防止・新規顧客の定着を促進します。 - PREDICO(プレディコ)
機械学習と数理最適化の技術で、店舗業務最適化を実現するソリューションです。売上の予測、店舗在庫の予測を行うことで在庫の最適化を実現。さらに、売上に応じたワークシフトを提案することができ、店舗の売上機会増・コスト削減の両方にインパクトをもたらします
PKSHA AIサービスの導入事例
これらのAIサービスは、小売業界でも導入が進んでいます。
例えば、アパレル小売企業が、PREDICOを導入し、在庫移動で発⽣する機会ロス・在庫廃棄ロス・移動費⽤を需要予測とシミュレーションにより最適化、つまりコスト削減した事例があります。
GMS店舗では、おなじくPREDICOを活用して店舗スタッフのシフト最適化を実現し、繁忙を踏まえたリソース配分による売上の増⼤・シフト調整⼯数を削減しています。
さて今回は、AIを活用したサービスがどのように小売業界に変化をもたらすのか、PKSHAの提供するAIサービスの事例をもとに確認してきました。
PKSHAは自社の保有するAIサービスを企業の課題解決の為に、APIまたはASPとして提供ししています。
AIを利用した8つの機械学習モジュール群と、それを組み合わせた4つのソリューションを展開しており、小売業界でも導入事例があります。
アメリカでAmazonが展開している「AMAZON GO」のような無人店舗の実現は、AIサービスなしでは成立しません。
今後、AI導入を考える小売企業は、自社の課題に対して、PKSHAの提供するどのAIサービスを活用できそうか検討してみましょう。