OMO

ニューリテールによる小売業界の変化と今後の方向

中国では小売業や卸売業やECの未来を担う言葉として、「ニューリテール」がという言葉が使われるようになってきていますが、日本ではECや小売業のデジタルトランスフォーメーションは中国と比較すると遅れていることもあり、まだ馴染みのない言葉です。

このニューリテールのコンセプトはアリババの創業者ジャックマーを中心に唱えられおり、「ニューリテールとはオンラインとオフラインはシームレスに統合する」というビジョンです。
ECが誕生したのち、実店舗の不要論も度々議論されていますが、ニューリテールの考え方ではオンラインとオフラインは対立するものではなく共存するもので、オンラインのみの商売では将来性はないと考えています。
「ニューリテール」のコンセプトが日本の小売業界にどのように影響するか解説します。

ニューリテールとは

ニューリテールは「オンラインとオフラインの統合」で、ここでのオンラインとはEC、デジタルマーケティング、SaaSなどのクラウドサービス、アプリなどです。一方、オフラインとは実店舗、対面接客、商品、物流などです。
日本ではマーケティング用語でOMO(Online Merges with Offline)という言葉が使われるようになり、これはオンラインとオフラインの結合でニューリテールとは似たような意味合いです。
補足として、OMOとO2Oは混合しがちですが、「O2O」は顧客をオンラインからオフラインへの流入や移行のことで、ECやWebメディアを活用して顧客を実店舗に送客することを意味します。「OMO」はオンラインとオフラインの統合を意味し、顧客の利用シーンや目的に合わせて、最適な状況を選ぶことです。

「ニューリテール」コンセプトを反映する小売業者は、顧客のニーズに基づいてオンラインとオフラインを結合し、両方で同等のサービスや商品の提供を求められるようになります。
例えば、ニューリテールの概念を具現化するアパレルに特化したプラットフォームFACYがあります。
このサービスでは、顧客はオンラインで新しい店舗に情報を仕入れ、商品を購入し、店舗での商品の受け取りか配送することを選択します。
店舗で実際に商品を見たり試したりしたい顧客は店舗へ行き、そうでない顧客の場合は発送を選択します。
ここでの重要になるのは、オンラインとオフラインで同じ購買体験ができる事です。

ニューリテールと物流の関係性

「ニューリテール」は、2016年10月にアリババのジャックマーにより提案された10〜20年後に一般化する小売業のコンセプトです。
ニューリテールモデルは、オンライン、オフライン、物流、データ、テクノロジーのすべてを統合し、より良い顧客体験を提供することができるようになります。
そこで物流が非常に重要な要素です。
実店舗で購入することのメリットは商品がすぐに手に入る事ができ、一方でECの場合は早くても翌日以降になります。一方でECは自宅まで配送してくれてますが、実店舗で購入した場合は自宅まで持ち帰る必要があります。
ニューリテールではECで買い物すれば実店舗で購入したように数分後〜数時間後に配送でき、実店舗で購入した場合は会計後に手ぶらで帰宅し、家に帰宅することには商品が配送されているような状態を目指しています。
この場合はオンラインでもオフラインでも同様の顧客体験ができます。
このようにニューリテールを物流改革と言っても過言ではありません。

ニューリテールの中国の事例

中国ではニューリテールでインターネットと実店舗と統合するだけでなく、最新の配送技術を使用して食品スーパーマーケットを運営しています。
アリババが運営するスーパーマーケット「ファーマーゴッド」は、店内でその場で料理し食べられるだけでなく、スマートフォンで注文すれば、購入した商品をすぐにご自宅へお届けします。3キロ以内であれば、購入した製品を30分以内に配達します。

このようにオンラインとオフラインは対比する関係性から、結合する関係性になり、将来的にはオンラインとオフラインを分別する事がなくなる可能性があります。
そして、ニューリテールのコンセプトのもと、消費者の購買行動がより便利になり、オンラインとオフラインで同等のサービスや商品を提供できるようになります。
まだまだ遠いい未来のようですが、中国ではすでに開始されているため、日本でも近い未来に実現する可能性はあります。

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