2018年・2019年と経済産業省が監修している「IT導入補助金」の支給条件の1つとして「POSレジ」が加わり、2019年には消費税が10%に引き上げられ、同年10月には軽減税率制度が設けられました。
そこで軽減税率制度の浸透させるために軽減税率に対応しているレジの導入に対する補助金制度も同時に作られました。
そこでPOSレジの存在感が増し、導入のしやすさなどを理由に飲食店や美容業を中心に「モバイルPOS」が台頭してきており、市場規模も年々拡大しています。
多くの飲食店や小売業でモバイルPOSの導入が加速すると同時に、モバイルPOSのプレイヤーも多くサービスが乱立しているのも現状です。
本記事ではまず初めにPOSについて説明を行ったのちに「モバイルPOS」を中心に解説をしていきます。
モバイルPOSとは?
POSとは「Point of Sale(販売時点)」の略で、小売業や飲食店において商品の販売・支払いが行われるその場(販売時点)で、その商品に関する情報を収集・記録し、売り上げ情報を把握し、それに基づいて売り上げや在庫を管理するためのシステムです。
具体的な仕組みは商品につけられたバーコードをレジのスキャナーで読み取り、販売の時点と、販売された商品を登録するというものです。
またバーコードの付いていない商品は、タッチパネルやメニューキーボードで販売情報を登録し、それらの登録データをサーバーに転送します。
レジとPOSの違いも簡単に説明します。
レジは簡単な「売上金額の計算」や「計算した金額の記憶」や「レシートの発行」などでインターネットに通じなくても機能が使えます。
一方、POSは商品販売の情報やそれ以外の顧客情報などあらゆる情報をデータとして蓄積することができ、基本的にはインタネットと通じていなければなりません。
POSにはPCPOSとMPOS(モバイルPOS)の二つに区分でき、PCPOSはコンビニやスーパーなどにある大きい機械になり、MPOSはタブレットやスマートフォンで操作できるPOSを表します。
モバイルPOSのメリット
モバイルPOSのメリットとして以下があげられます。
- 導入、運用コストが安価であること
モバイルPOSの導入は端末代金と数千円の月額料金で利用することができます。
このようなモバイルPOSのメリットがPOSシステムの普及に一役買ったのは間違いありません。 - 操作性が高い
モバイルPOSはタブレット端末やスマートフォンを利用するため、直感的な操作が可能です。
また、外国人でも操作がしやすいように多言語に対応したモバイルPOSのサービスもあります。
外国人労働者が増えてきている現代においては非常に利便性が高いサービスであることは言うまでもありません。 - 空間を無駄にしない
モバイルPOSはWi-Fi環境を利用して運用するので店内のどこでも会計をおこなうことができるようになりました。
タブレット端末とスマホ自体も薄型かつ軽量であるため、スペース確保のために頭を悩ませる必要はなくなりました。
このメリットは店舗の設計やデザインを考えるうえでも非常に役に立ちます。
おしゃれなカフェやレストランなどでもモバイルPOSが利用され始めている背景ともいえるでしょう。 - 顧客満足度の向上につながる
タブレット端末やスマートフォン端末を活用したモバイルPOSは持ち運びが可能であるため、お客様が望むときに対応が可能になります。
従業員がお客様のもとへモバイルPOSを持って対応すれば、お客様は会計のためにレジへ行く必要がなくなります。
モバイルPOSを利用すればお客様ファーストの迅速な対応がしやすいといえるでしょう。 - クラウド管理であること
ほとんどのモバイルPOSではクラウド管理の方式が取られています。クラウド管理であるメリットとして実際に店舗にいなくてもネット上でPOSレジの状況を確認することができるというところがあげられます。
例えば、出張先にて店舗のレジ状況を確認したい・多店舗の様子を現地に連絡を入れずに確認したいというニーズに答えることができます。
モバイルPOSのデメリット
モバイルPOSのデメリットとして以下があげられます。
- ネットワーク環境が必要
モバイルPOSレジではネットワーク環境が必須となっています。その場合には新たにネットワーク環境を構築する必要があります。
また、ベンダー側がネットワーク環境に関するサポートは行っていませんので、その費用は完全に自費となります。
しかし、現時点でネットワーク環境がある店舗ではその点は問題とはならないでしょう。 - OSバージョンアップによるトラブル
タブレット端末やスマートフォンのOSがアップデートされたときに、突然使えなくなるというリスクがあります。
また、タブレット端末やスマートフォンの世代によってはモバイルPOSサービスとの相性が悪いという可能性もあります。
しかし、近年のアプリアップデートの頻度や速度も非常に上がってきたのでこの問題もさほど大きな問題といえませんが、そういうリスクがあることも念頭にいれましょう。 - サポート面の不安
安価に使い始めることができるモバイルPOSはベンダー側から十分なサポートがうけられるということを期待しないほうがよいでしょう。
モバイルPOSの場合は不具合が生じたときには現場で解決しなければいけないのが現状です。
モバイルPOSを導入を検討している方は、上記のメリットデメリットを必ずチェックしましょう
POSレジとの違い
モバイルPOSのメリット・デメリットについて解説してきましたが、続いてはPOSレジの特徴を説明しモバイルPOSとの違いを明確にしていきます。
POSレジは安価なものでも10万円以上、さらに情報集計システムを導入するとなると数十万円の費用が発生します。
POSレジはキーボードやテンキーを使って操作をする点もモバイルPOSとはことなります。
また、POSレジは大きな端末とその配線によってある程度のスペースを確保し、レジを固定する必要がありました。
電話回線の配線の関係上、レジの設置場所が電話回線の近くでなくてはいけないという制約もありました。
サポート体制に関しては、POSレジの不具合が生じた場合、ベンダーが駆けつけて再整備をしてくれたりと、モバイルPOSとは対照的に手厚いサポートが受けられます。
会計管理や商品管理・在庫管理を行う上で非常に役に立つPOSシステムは1980年代アメリカのスーパー業界の収益の大幅な増加に貢献しました。
それが現在ではモバイルPOSの台頭により、POSシステムの導入障壁が下がり、中小規模の店舗もPOSシステムの恩恵を受けることができるようになりました。
モバイルPOSはニーズが多様化した顧客ニーズへの対応やこだわりのある店舗の実現などが可能であり今後の普及に目が離せません。