2015年に国連サミットで「持続可能な開発」の17個の国連の目標が掲げられ、それをSDGsといい、その中に下記のような項目があります。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- つくる責任つかう責任
- 全ての人に健康と福祉を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
これらは全て「食」に関わることで、食には生産から消費まで様々な課題が世界にあります。
その中でも最も重要な課題は「フードロス」で、食べられることなく処分や廃棄される食料や食事を意味します。
昨今、社会課題の大きさゆえ、事業を通じてこの課題を解決を試みようとする企業も多くいます。
この記事ではフードロスの詳細に説明したので、フードロスを事業を通じて解決を目指す企業を紹介します。
フードロスとは
フードロスのという言葉の対象範囲はとても広いですが、生産、生産加工、飲食、小売店、食品メーカー、卸売店、一般家庭で捨てられる食品を含みます。
フードロスはの発生量の内訳は、飲食・小売店、食品メーカー、卸売店で発生する事業系食品廃棄物等から352万トン、一般家庭で発生する家庭系食品廃棄物等から291万トンとされています。
事業系食品廃棄物は食材の生産などの上流工程での規格外品や加工途中で不要となった部位などが含まれます。
飲食店や消費者などの下流では売れ残りや賞味期限切れや食べ残しがあります。
フードロスは生産者や飲食店の責任が重く感じますが、消費者も食べ残しや過剰発注という形で関わっているため他人事ではありません。
企業がフードロスへの取り組みに後手を踏んでいる理由は「食品ロスに向き合っても利益にはなかなかならない。」という、理由があり合理的ですが、同時に社会課題に向き合う必要があります。
家庭系食品廃棄物でも事業系食品廃棄物の8割ぐらいなので、日々の生活の中で作りすぎや賞味期限ぎれなどで処分していることがあります。
家庭料理や自宅からもたくさんの食品ロスが発生しています。
フードロスとSDGs
フードロスはSDGsで定められた17個の目標のうち、6つに強い関わりがありますが、その中でも特に「つくる責任つかう責任」の中で「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。」と明記されています。
人間が日常生活の中で消費している食料は、生産・流通・加工・調理・消費と繋がっており、その間に多くの人手やエネルギーや資源を使用しています。
つまりフードロスすることは、人手やエネルギーや資源を無駄にすることど同義になります。
また、食材の廃棄や処分も無料でできるわけでなく、そこにも人手やエネルギーを費やさなければなりません。
このようなフードロスの社会課題の解決を目指し、大手企業やスタートアップがテクノロジーと掛け合わせて、フードロスに削減に挑んでいます。
フードロスと日本
フードロスは欧米では2010年ごろから事業が始まり、2015年にはフードシェアの文化が根付いており、日本は欧米と比較すると5年ほど出遅れています。
そんな日本も2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律(略称 食品ロス削減推進法)」が成立しており、フードロスの活動指針を出す自治体や企業も増えてきています。
しかし、フードロスは日本ではビジネスの中ではまだまだ浸透していないのが現状です。
日本の食料廃棄量は食品由来の廃棄物は2775万トンあり、その内まだ食べることができるのに廃棄されている食材は年間約643万トンです。
国民1人あたりでは年間で約50kg、月間で約4.5kgのフードロスが発生しています。
日本の食料自給率はカロリーベースで39%と世界最低水準を推移しており、多くの食品を廃棄しているということが発生しています。
フードロスに取り組む企業はたくさんあります。アプローチ方法などは違いますが企業では「FOOD PASSPORT」「ReduceGO」「TABETE」「Kuradashi」「たべるーぷ」「Tabekifu」などがあります。
フードロスのサービスや事業
フードロスをビジネスとして事業化する上で、生産〜消費までのサプライチェーンがある中で様々なアプローチができます。
生産では規格外商品(形やサイズがNGで、商品として販売できないもの)を加工や調理して販売することができ、規格外商品の処分が不要になります。
また、最近では農業や漁業などの第一次産業の生産者がインターネットを通じて、直接消費者に販売できるようになっています。
そうすることで、生産者と消費者が直接繋がり、中間の流通工程でのロスを削減することができます。
コンビニのお弁当づくりや食材を加工する工場でも、使える部分を集めて二次活用しています。例えば、粉末状にして利用したり、ペットの餌として再利用したり、家畜用の餌などにするなど多岐に渡って活用しています。
飲食店では消費者に対して、フードロスを提供するサービスや、同業者に対して余剰在庫を販売するECサイトなどがあります。
また、食料品のサプライチェーンには「1/3ルール」という古くからの慣習があり、フードロス問題への大きな障害となっています。
「1/3ルール」とは、製造日から賞味期限までを3分割した上で、納品期限、販売期限を設けるという小売有利なルールになります。販売期限を超えた食品は小売から卸売へ、納品期限を超えた食品は小売および卸売からメーカーへと返品され、その多くが廃棄されているとのことでした。
他にもフードバンクとい取り組みがあり、食べ物の寄付を募り福祉施設等に無料で提供しています。
鮮度や味には問題がなくても、メーカーが抱える包装紙や外箱がつぶれた加工品や農家で発生する形や傷によって出荷できない野菜、家庭で買いすぎたレトルト食品・缶詰などが対象です。
フードロスのスタートアップ
フードロスに取り組む事業者は屋内にもたくさんありますので紹介します。
フードロスのスタートアップ①流通
- Grubin
小売店・飲食店等における食品廃棄物をアメリカミズアブを用いた小型食品リサイクル装置「Grubin」の開発 - MUSCA
イエバエの幼虫を活用して、昆虫テクノロジーによって食品残渣をバイオマス処理するシステムを開発 - KURADASHI
メーカーが提供している廃棄予定の商品を割安で購入できるECサイト - ロスゼロ
食品メーカー等が提供する廃棄予定の商品を購入できるECサイトでお菓子を中心に取り扱い - SEND
農畜水産物の既存の流通規格や量に縛られず、多種多様な食材を生産者から飲食店に届けるサービス「SEND」を提供
フードロスのスタートアップ②二次流通
- アイル
廃棄予定の野菜を活用して、ペースト状にして乾燥させたシート食材「VEGHEET」の製造・販売 - HenoHeno
急速冷凍技術で規格外食材のオリジナルの冷凍商品「HenoHeno」を開発、オフィス向けのサービスを提供 - Food TEXTILE
食べ物の持つ色に着目し、廃棄予定の食材を染料として活用したアパレルブランド「FOOD TEXTILE」
フードロスのスタートアップ③プラットフォーム
- TABETE
飲食店等で発生した廃棄予定の商品を割安で購入できるフードシェアリングサービス「TABETE」。飲食店は売上の拡大、廃棄費用の削減、新たな顧客開拓などのメリット - tabeloop
BtoB向けで廃棄予定の商品を購入することができるフードシェアリングサービス「tabeloop」を提供 - Reduce GO
サブスクリプションモデルの飲食店の廃棄予定の商品を割安で購入できるサービス「Reduce Go」を提供 - FOODPASSPORT
飲食店の廃棄予定の商品を注文できる月額制のシェアリングサービスを開発・運営
他にも多くの大手企業やスタートアップ企業がフードロスの問題解決に向けて取り組んでいます。
SDGsでも注目されているため、今後目の離せない領域です。