無人店舗

ローソンが実証開始した無人店舗営業とは?今後の小売業界について徹底解説

山手線の新駅高輪ゲートウェイ駅やAmazonGoなど無人店舗のニュースを耳にすることが増えてきました。
大手小売業も無人店舗の展開を視野に入れており、大手コンビニのローソンが無人店舗の実証実験を2019年に開始しました。

全国のコンビニオーナーや店長がアルバイト等の採用に四苦八苦している中、小売業界の人手不足に一石を投じる取り組みとして注目されています。
そこで今回は、ローソンが進めている無人店舗化の取り組みについて解説します。

ローソンが深夜限定で無人店舗の実証実験を開始

2019年8月、横浜市のローソン氷取沢町店にて、午前0時〜午前5時までの深夜限定で売り場の無人運営を開始しました。
バックヤードや商品の店だしの店員を一人残し、レジは完全にセルフ形式のオペレーション体制です。

ローソンの無人店舗は、午前0時になると店舗入り口の自動ドアがロックされ、認証機でロックを解除しないとお客様は入店できません。ロックを解除する方法は「顔写真」「アプリ」「カード」の3種類です。

顔写真を撮影する方法は、自動ドアの前に設置された認証機に顔を近づけて撮影すると自動ドアのロックが解除されます。
スマホのアプリで解除する方法は、事前に「ローソンアプリ」をスマホにインストールし、アプリ上に表示されるQRコードを認証機に読み取らせることで入店が可能です。
カードで解除する方法は、ローソン専用の入店カードが近隣住民に配布され、カードに印刷されているQRコードを認証機に読み取らせると入店できます。

無人店舗ではたばこや酒類といった年齢制限のある商品は販売されず、おでんや揚げ物の販売、切手や収納代行、Loppiでのチケット発券、宅急便の受付も行っていません。
決済方法は通常の店舗とほぼ変わらず、クレジットカード・電子マネー・バーコード決済・現金での支払いに対応可能です。自動釣銭機能が付いたレジなので、無人での決済が可能です。


画像はLowson公式サイトより引用

ローソンが進める無人店舗の実証実験

2020年2月ローソンは深夜限定の無人営業に続いて「ローソン富士通新川崎TSレジレス店」をオープンさせました。
富士通新川崎TSの従業員限定で利用され、2019年の無人店舗と異なりAIカメラと重量センサー付きの商品棚を設置し、Amazon Go方式で無人化を図っています

入店するには、まず専用アプリをダウンロードし、Apple ID・Googleアカウント・LINEアカウントのいずれかと紐付けた上で、クレジットカード情報を登録します。アプリ上でQRコードを生成し、入り口のゲートにかざすことで入店が可能です。
運営システムには、富士通と共同開発した「Zippin」という製品を採用しており、手のひらの静脈と顔情報で本人が特定できます。

また、店内で商品を選ぶと、手にとった商品の種類・個数がセンサーでカウントされ、退店時にクレジットカードで自動決済し精算が終了します。
そのため、店舗のスタッフは、弁当やおにぎりなどの品出しに集中でき、少ない人数でのオペレーションが可能です。

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ローソンの無人店舗で万引きは起こらない?

ローソンの無人店舗における防犯体制は、通常の店舗に比べるとかなり厳重です。
通常の店舗に設置されている防犯カメラは10台弱ですが、無人店舗では29台設置しています。
また、QRコードには利用者の個人情報が紐付けされており、顔写真の撮影も、心理的に万引きの犯罪行為が抑制される効果をもたらしています。
特に深夜営業の無人店舗では、午前0時になると入り口の自動ドアにロックがかかり、酒類の販売コーナーも什器にシャッターで覆われ、商品の管理体制がより厳重になります。

小売業界におけるビジネスモデルの現状

現在、小売業界では人材不足を解消しようと、主に3種類の取り組みが進行中です。

1つ目は無人店舗形式で、2016年頃から中国で台頭しました。しかしコスト高の問題や、入店時のドアロック解除・セルフレジでの煩雑さが原因で、現在ではほとんど姿を消しています。

2つ目はセルフレジ形式で、日本のスーパーマーケットが主に導入しています。ある程度大規模な施設との相性が良く、レジで長い列が並ぶスーパーやホームセンターで広がると予測されています。

3つ目はAmazon Go形式で、コンビニなどの小規模店舗で広がるだろうと予測されています。
野菜や果物などのバラ売りには対応できず、まだ取り扱える商品に限界はありますが、商品の入れ替えや補充・品揃えに人手をかけられるので、コンビニとの相性が良いです。

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将来は人口減少による人材不足がさらに深刻化し、2030年までに日本では644万人の労働力が不足すると予測されています。
そのため日本のコンビニ業界は現在、24時間営業から営業時間の短縮へとシフトしており、実際セブンイレブンでは、2019年3月から一部店舗で時短営業をスタートしています。
また、2019年10月時点での時短営業店舗数は、ファミリーマートで全国632店舗、ローソンで98店舗となっており、今後も拡大する予定です。
特にローソンの竹増社長は、2019年に店舗のデジタル化を進め、セルフレジの導入を強化すると発言しました。。
Amazon Goも、2021年までに全世界で3,000店の開業を予定していますので、ローソンに限らず小売業全体が無人店舗化へと進んでいくことでしょう。