小売業界のIT化も加速しており、無人店舗やPOSサービスのクラウドやAIによる行動認証など新しい技術が開発されています。
それらの新しい技術の中でもっとも注目を浴びているのが「IoT(Internet of Things)」で、コンピュータ等の情報・通信機器に限定せずに、世間に存在する多種多様な「モノ」に通信機能を付加して、インターネットに接続して、「モノ」と相互に通信することで、「モノ」の自動認識・自動制御・遠隔操作が実現できる技術を指します。
今後「IoT」は多くの産業でAI(人工知能)と組み合わせ生産性向上を図ろうと導入をスタートさせます。
今回は「IoT」と小売業の関連を紹介していきます。
IoTとは何か？
「IoT（Internet of Things）」は「モノ」がインターネット経由で相互に通信することで、「IoT」が開発される以前は、インターネットはコンピュータ同士またはスマートフォン・タブレット端末などの情報端末を接続していました。
「IoT」開発により、テレビ・デジタルカメラ・デジタルレコーダー・エアコンや最近話題のスマートスピーカーなどのデジタル情報家電をインターネットに接続してコントロールすることが流行し始めています。
小売業界ではバーコードによる商品管理が浸透しており、今後は商品に付いているバーコード値札が、電子タグに代わり革新的な商品管理に遷移すると予測されます。
日本政府が小売店へのIoT導入を推奨
経済産業省は「「IoT」による「モノ」のデジタル化及びインターネット・ネットワーク化が国内外の多くの産業で社会活動に適用されて、デジタル化されたデータがインテリジェンス（大量なデータを収集・分析してその結果を可視化する仕組み）へ遷移されて現実世界に適用されることを目標にしています。
データが付加価値をもち現実世界に影響を与える社会を「データ駆動型経済」と表現しています。
「IoT」によって収集される膨大なデータを「ビッグデータ」と表現し、ビッグデータが「データ駆動型経済」を実現するための技術基盤になります。
「IoT」をパソコン・タブレット端末・スマートフォンに限定せずに、日用品・家庭電化製品・自動車・建築物・食品などの多種多様な「モノ」が電子タグ・組み込みセンサー・無線LAN・Wi-Fiなど通信機器によりインターネットに接続して、相互識別・位置情報・通信アクセス頻度と特定して、「モノ」をコントロール可能になるビジョンを経済産業省が掲げています。
IoTを導入した小売業の事例
小売業界は業務効率化による働き方改革を目指して、デジタル化が必要不可欠になっており、物流・流通・小売業界を営む企業のサプライチェーン（ITを活用した効率的なプロセス）部門は、デジタル化の進歩に対応可能な柔軟な体制構築が急務になります。
スーパーマーケット業界における「IoT」の活用では深刻な人材不足のなかで、大型液晶ディスプレイによる店舗案内の仕組み導入やAI店員（AIロボット）が人に代わって接客サービスをするように進化していきます。
運営企業は、人材不足による顧客満足度の低下を解消させる意図があります。
また「IoT」とPOSレジスターを連携させて、販売履歴データを分析して顧客管理に活用し、電子タグの導入によって万引きなどの犯罪行為を予防することが可能です。
「IoT」の活用により、スーパーマーケットの顧客管理、受発注、在庫管理、セキュリティ、リスク管理が容易に導入することが可能になります。
小売業のリアルタイムの在庫管理もIOTによって実現できます。
通信販売が台頭する中で一般小売業はお客様のニーズに即応することが重要になり、今までは在庫が正確に把握できない原因は、物の流れがリアルタイムに変動するのに対して、在庫情報がバッチ処理されているため、タイムラグを生じて現在庫とコンピュータ上の在庫数にアンマッチを起こします。
今後は販売情報・在庫情報をリアルタイムに計上して販売情報と一致する、リアルタイム在庫の実現が不可欠で、「IoT」導入により在庫管理をリアルタイム化することで、販売履歴・販売計画・受注情報・顧客管理が一元管理されて、顧客満足度も向上されます。
「モノ」に追跡チップ・電子タグを付けることで物販の小売業界は大きく進化していきます。
総務省が発表した「情報通信白書（平成29年版）」は、「IoT」導入により社会改革が進展する場合と、「IoT」導入による改革の状況が2030年までに変化しない場合では、2030年時点で経済成長の市場規模に271兆円の差異を生じると試算されています。現在の日本国GDPは600兆円で、「IoT」導入をすることで10年後にはGDPが1,000兆円にのびます。「IoT」が経済に与える影響度は非常に大きいと試算しています。
