消費者やユーザーの趣向や行動の変化に伴い、マーケティング施策も変化しており、ホテルや宿泊業界にもその影響が出ています。
小売業や飲食店などのサービス業では顧客の年齢や性別などの属性はもちろん、購買履歴や頻度などの行動のデータを蓄積することで一人一人に合わせたマーケティングに繋げています。
この記事ではホテル、旅館、民泊など宿泊業全体のCRMについて解説します。
CRMとは
CRMとは「Customer Relationship Management」の略語で、「顧客関係管理」や「顧客管理」の意味で、顧客との良好な関係を構築するためのマーケティングの手法です。
さらに、顧客満足度の向上するためには、全体に対して同じアプローチではなく、一人一人に合わせたコミュニケーションやマーケティングが必要であり、現在ではパーソナライズやターゲティングなどもCRMに該当するようになりました。
CRMではSNSやメルマガやアプリの通知など一人一人に合わせたコミュニケーション方法を活用して、データを元に顧客が必要としている情報を提供します。
ホテルでのCRMの必要性
ホテル業界の集客は宿泊者からの予約を待つという、受け身になりやすいケースが多いです。
いつどこの誰が宿泊を希望しているか予測が難しいため、不確定な人たちに対して、満遍なくマーケティングを行うのは非効率です。
そのため、駅前にあるような旅行代理店からの集客またはOTA(Online Travel agenct)という楽天やじゃらんなどの予約サイトからの集客に頼らざるを得ません。
OTAは確かに集客できますが、手数料が10%だったり、OTA内での競争が激しくそこから予約を取ろうとすると追加で広告費などが必要になります。つまり、意外と費用が発生するのがOTAでの集客になります。
そのため、エージェントの依存しない形の予約を取る必要がありますが、新規宿泊者からは難しく、リピーターや常連客を作りその顧客から直接予約を取るのが最も効率的です。
CRMの考え方はこのような宿泊者との関係性を構築することで、そのために宿泊者の情報を分析し、マーケティングやコミュニケーションに繋げて、集客の向上に繋げています。
分析することで年齢や性別や宿泊日数などが明確になり、自社の特徴や強みと弱みを明確にすることが可能です。
ホテルでのCRMマーケティング
CRMの顧客情報をデータを分析し活用することで、似たような属性に対してマーケティングを行うことで新しい集客に繋がりまりますし、効果的な施策になります。
例えば、30代ファミリーに人気の施設であるが、大学生に対し広告を行っても効果が薄く、仮に宿泊しても満足する宿泊体験を提供できない可能性があります。それよりも、似たようにファミリー層に対して広告を行った方が集客と満足度で可能性があります。
このような属性に合わせたマーケティングに最も適しているのが、Facebookとインスタグラムで、年齢や地域や職業や趣味などからセグメントできますので、ピンポイントにリーチをさせることが可能です。
加えて、インスタグラムは写真を中心としたSNSですので、周辺の観光スポットの投稿などすると効果があり、ホテルや宿泊業と相性のいいSNSになります。
顧客データを活用することで顧客のアフターフォロー、誕生日や記念日でのメッセージや特別クーポンなどを送るのはCRMの代表的なやり方で、
ホテルでは客室にアンケートを置いていますが、回答率が極めて悪く、また紙媒体なので回収できたとしても集計や分析に時間が掛かっており、回収も集計も非効率です。
CRMのシステムや客室IoTを導入することで、タブレットやスマホからアンケートを入力いただき、回答率の向上と集計や分析の簡易化をすることができます。
このアンケート結果を元にホテルの長所短所が明確になり、ホテル運営に反映させることが可能になります。
OTAでできるCRMマーケティング
インターネットやデジタルマーケティングに詳しくない方はCRMマーケティングも難しく感じます。
そのような方はOTA内のマーケティングを強化することができます。
OTA内で重要なのは地名や駅名を入れた際に、上位に表示されるサイト内SEOで、これはOTAからの予約実績と口コミレビューのスコアによって決まります。そのため、レビューでいい結果を得るために、毎日のホテル営業を丁寧に行い、宿泊者に対して快適な宿泊体験を提供が必要になります。
いつどのお客さんがどのような口コミを書くかも予測できないため、全てのお客様に対して、平等に真摯に対応が必要です。
そのほかにOTAにはサイト内広告があり、特定の検索条件や宿泊者属性に対して、広告を出すこともできますので、CRMの一つとして行うことができます。
このように宿泊業界でもCRMマーケティングが一般化してきており、顧客ごとに対してアプローチやコミュニケーションを行うことで顧客満足と効果的な広告の実現ができます。