飲食業界や外食業界において、デリバリーやテイクアウトが急速に浸透しており、顧客の行動や店舗のオペレーションなどの変化が必要になっています。
デリバリーの場合はほとんどがUber Eatsや出前館を利用しますが、そのデリバリーを前提としたサービスがゴーストレストランといい、名前の通り実態のないレストランになります。
この記事ではゴーストレストランとは何かを紹介します。
ゴーストレストランとは?
ゴーストレストランとは普通のレストランとは違い、実店舗を持たずにデリバリー向けに営業するレストランです。バーチャルレストランと呼ばれることもあります。
調理後はUber Eatsや出前館などの外部サービスのドライバーが注文者の家までデリバリーしてます。
実店舗がなくシェアキッチンなどを活用して、店舗にテーブルや椅子もなくPOSシステムなども不要で、接客の必要がないため従業員も雇っていません。
注文はオンラインで端末に表示され、確認はボタンを数回押す程度で、電話もかかってこず、配達員に渡せば、あとは注文先まで届けてくれます。
注文は基本的にデリバリーアプリからなので、そのサービス内の決済システムを利用するため、会計やレジ締めなどの業務も不要になります。これらには売上レポートや分析機能も付いているため、売れ筋メニューなどの確認なども簡単に実施することができます。
ゴーストレストランのメリットは、初期費用を抑えて運営することができることです。通常、飲食店をオープンするときは設備や家賃の初期費用などで1000万円以上の費用が掛かりますが、ゴーストレストランの場合はシェアキッチンやクラウドキッチンを利用することで100万円以下でオープンすることができます。
特に知らない土地で出店する場合は、店舗を出店する前にデリバリー中心でゴーストレストランを運営して、半年ほど運営をして固定客や常連客ができたら、実店舗をオープンして時にはすでに知名度がある状態で集客を行うことができます。
実店舗の場合は立地が重要になり、一本通りが変わるだけで、客層や売上に大きな影響があります。当然、立地がいいところほど家賃が高いですが、ゴーストレストランはデリバリーを前提としているため、エリアだけ間違わなければ裏路地や目立たない立地でも問題ありません。
また、雨の日などの天候にも左右されにくいため、安定した売上を保つことができます。
ゴーストレストランは一社のみではなく、数社が同時にキッチンをシェアしながら運営する場合がほとんどです。
そのため、調理器具や時には食材も共有できるため、費用を安価に抑えることができます。
また、他の事業者とキッチンを共有することもあるため、新たなネットワークの構築や食材の共有をすることでフードロス などを防ぐことができます。
ゴーストレストランは今後飲食店をオープンする場合に、商品が市場に合うかどうか試験的に試す場としてもよく利用されています。
ゴーストレストランの増加の理由
ゴーストレストランが日本で増加している一番の理由はデリバリーサービスの充実です。
以前はピザ屋などが自社でデリバリーを行なっていましたが、今ではデリバリーサービス会社があり、デリバリー人材がいなくても飲食店がデリバリーサービスを開始できるようになりました。
このような消費者の変化とともに、飲食店側も人材不足に悩んでおり、店舗を持っても採用できない懸念があるため、店舗を持たない形で最小限の人数で運営できるビジネスモデルを選択するようになりました。
飲食店は開業から1年で潰れる店は30%、3年で70%、10年で90%と言われており、生き残るのが難しい産業ですが、開業資金はたくさんかかるため、リスクが非常に高いです。
そのようなリスク回避として、試験的にゴーストレストランを利用して、デリバリー販売を始めるケースがあります。
また、2019年10月に消費税率が10%に引き上げのタイミングで、「宅配」や「持ち帰り」の商品は税率が8%の軽減税率の導入されました。
少額でありますが、この2%も消費者や事業者にとって、デリバリーを利用する後押しとなりました。
ゴーストレストランのデメリット
ゴーストレストランはメリットも多いですが、デメリットもあります。
一つ目はデリバリーのプラットフォームへの依存度が非常に高いことで、配送費や広告費などの手数料高く、Uber Eatsや出前館がこれらの費用をあげた場合には従うしかありません。
また、デリバリープラットフォームの業績が万が一傾いた場合には、共倒れするリスクはあります。
また、デリバリーが前提のため、提供できる料理が限定されます。例えば、麺類は伸びてしまう可能性があったり、鉄板焼きやもんじゃなどはデリバリーには向いておらず、ゴーストレストランで出店するのは難しいです。
店舗がある場合は店員とお客様が会話をすることで商品を進めたり、関係性を構築しますが、デリバリーのため顧客と接するドライバーは外部の人になります。
そうすると店員のサービス、店舗の雰囲気などは関係なく、味一本で勝負しなければなりません。
アメリカでは日本より先にデリバリー文化が根付き、ゴーストレストランが増えています。日本も似たような傾向になると思いますので、新しい飲食店のビジネスモデルとして注目です。