Fin TechやHR Techなど業界×Techで表すことが増えてきており、食に関する業界ではFood Techと用いられるようになりました。
食と一言でいっても、食品の製造、販売、飲食店、農業などがあり、フードテックはこれら食に関することをまとめたことを意味するため、とても広い範囲で使用されます。
この記事ではフードテックとは何かについて解説します。
フードテックとは
フードテックとは、新しい食品の開発、製造の仕方、調理器具や方法の開発、販売などを最新のテクノロジーを用いて行うことです。
フードテックはアグリテック、ロジテック、レストランテックなどに区分することができます。
フードテックにより、食に関するさまざまな問題や課題を解決することができ、業界で働く人だけでなく、毎日食事をする消費者にとっても大きな影響を与えます。
フードテックはアメリカやヨーロッパで2015年頃から話題になり、当初は食品ロスに関する事例が多かったですが、今となっては幅を広げています。海外では「beyond meat」や「impossible」などの有名なスタートアップです。
日本で取り上げられるようになったのは2018年頃からです。
フードテックの種類とは
フードテックの領域は広いですが「製造」「調理」「販売」「開発」の4つに区分することができます。
- 製造
農業や漁業での第一次産業や食品加工工場などの効率化やロボット化があります。
例えば、農業ではドローンを活用した種まきや農業用重機のAIによる無人運転などで、今まで人手で行なっていた作業を機会が行うことができます。
また、農業や漁業は流通の過程に置いて、卸売業者が複数経由するため、生産者の利益率が低くなったり、消費者への販売価格が高くなる課題を長い間抱えていました。
マッチングサイトやプラットフォームサービスが生まれたことによる、流通と価格の適正化がなされました。
食品加工工場でもロボットの導入やAIによる品質や鮮度の見極めを行うことが可能になりました。 - 調理
調理ロボットの登場や調理器具IoTなどが誕生しています。
ロボットがたこ焼きをAIの焼き加減を見極めながら作ったり、長期保存ができる調理器具や自宅で作ることができなかった料理ができる器具が開発がされています。
調理の効率化やより美味しい料理を作ることが可能になりました。 - 販売
無人の食材専門の調理自動販売機の導入や、ECでの食材の配達などがあります。
またD2Cという生産者が直接消費者に届ける新しいビジネスモデルとして、飲食料品も企業も参入しています。 - 開発
完全食やサプリメントなど体に適した食材の開発も行われています。
五つ目はフードロスで製造過程での廃棄を買取し二次加工して販売したり、レストランの廃棄食材を他の消費者に販売するプラットフォームが続々と立ち上がっています。
フードテックで解決できる課題
食の産業はデジタル化やIT化が遅れており、近年急速にデジタルトランスフォーメーション や新たな技術開発がされてきています。
フードテックが注目されている背景には、解決できる課題の多さがあります。
一つ目は人材不足の解決ができます。日本では少子高齢化に伴い、働き手が不足しており、採用が困難になったり、後継者がおらず経営を続けるのが難しい企業があります。
特に食に関する外食産業、農業や漁業などの第一次産業、食品製造業などは人材不足に直面しています。
人手不足をテクノロジーの力を使って、作業効率化したり、ロボットでの代用を行うことで少ない人手で今までと同じ効果を発揮できるようにできます。
二つ目は食料不足や飢餓の課題を解決できます。世界では人口が増加し続けており、2020年は70億人ですが、2055年には100億人なると予想され、同時に食糧不足が心配されています。
日本では毎年2842万トンの食品廃棄物があり、このうちまだ食べられるのに捨てられている「食品ロス」は年間646万トンあります。
フードテックではAIやロボットで無人農場で二毛作などの効率の良い生産ができたり、食品加工をロボットなどを導入することで生産スピードをあげ生産数を増やすこともできます。
同時に食材を長期保存できる技術や廃棄食材の二次流通や加工をすることで食材の無駄や廃棄を減らすことで、食材不足や飢餓の問題を少しづつ改善することができます。
三つ目は食の安全の確保です。テクノロジーを活用することで、食品を品質などの見極めや食中毒などのリスクを回避することができます。また、長期保存ができる技術も開発されているため、賞味期限を伸ばすことができるようになります。
また、体に特徴や状態に適した食品を開発することで、効率よく栄養をチャージすることができます。
健康志向、動物愛護、宗教上の制限など様々な理由のある菜食主義により動物性の食品を避けた食事をする人も多く存在し、そのような人のために植物性たんぱく質による代替えミートを生産するフードテックもあります。
説明したようにフードテックはこれからも伸びていく市場でチャンスもたくさんありますので、非常に注目の産業です。