フードテック

【食×IT】フードテックとは?生産・調理・流通・販売など「食」に関することのデジタルトランスフォーメーション

産業・業界とテクノロジーを掛け合わせた言葉がトレンドとなっており、「クロステック(XTech)」と呼ばれています。
AI、ロボット、ビッグデータなどあらゆるテクノロジーが発達する上で、領域を拡大しており「食」に関することのデジタル化やIT化が進んでいます。

本記事ではフードテックに注目し、概要や特徴や事例について紹介します。

フードテックとは

最新のテクノロジーと「食」を組み合わせたのがFoodTechです。言い換えると、食に関する課題や問題をテクノロジーを活用して、解決することを意味しています。

日本でフードテックが注目されている理由は、少子高齢化により労働人口が減少して、国内の食品の精算量の減少や後継者問題が発生しており、それをテクノロジーの力を活用して解決しようとする動きが活発になっています。
他方で、世界フードテックが注目されている理由は日本とは異なります。
先進国での廃棄などによるフードロスの深刻化や後進国の一部地域で飢餓などで、食料が世界で適切に配分されておらず、地域によって食料の過不足が発生しており、テクノロジーを活用して、この問題を解決しようとしているため、世界ではフードテックが注目されています。
現在は世界の人口は70億人ですが、2055年には100億人を超えると予想されています。
しかし、人口は増えても海や陸の広さは増えず、生産できる食料の量も一気に増えることがなく、食糧不足の問題は今よりも深刻になると予想され、同時に飢餓の問題も加速します。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)においても、2030年までに小売り・消費レベルにおける世界全体の一人あたりの食料廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させるとの目標を掲げ、世界の多く企業が世界の問題に対して同じ目線で取り組んでいます。。

加えて、フードテックは健康や環境と直結するため、人間の興味関心が自然と集まりやすいです。
生産過程では森林破壊や地球温暖化と繋がりますし、食事では肥満や体調管理と関連します。食に関する安心安全の意識は高まっており、体や環境にいい食材を摂取するようになってきています。

このような背景があり、シンガポールやアメリカではフードテック関連のスタートアップ企業が注目を浴びており、積極的な投資が行われています。
ITなどの技術革新はもちろんのこと、オーガニック思考や菜食主義などで一部の層に注目されています。

フードテックの種類

フードテックは広義で用いられることが多く、農業や加工工場での生産・製造、流通、レストラン関連、バイオテクノロジー、食品の開発など多岐に渡ります。
フードテックの中には、アグリテックやレストランテックなども含まれることがあります。

フードテックの種類:生産

「食」始まりの生産で、世界的には生産の効率化が最大の課題です。
生産にも農業や水産業もあれば、加工工場のロボット化や養殖場などでのテクノロジー化など幅広いです。

その中で「農業×IT」はアグリテックと呼ばれますが、アグリテックとフードテックは一部重なる部分もあります。
アグリテックは農業重機から、新しい品種開発など広い意味で用いられます。
例えば農業の天気や農場の広さなど環境をクラウドで一元的に監視し、異常発生時などに警告を発するソリューションなどもあります。
他には、無人で遠隔からタブレッドで操作できるヤンマー社のロボットトラクターなどで、無人で今までと同じように農業重機を稼働できるようにしています。
加えて、、ドローンなども注目されており、種の散布など農業の現場に活用されています。

生産手法についてもテクノロジーが介入しており、「植物工場」は屋内での栽培が可能になりました。
生産量が天候や害虫に左右することながなく、異常気象や害虫など、外的要因を受けにくくなり、砂漠などの栽培の適していない地域や土地でも農業を営むことができるようになるため、世界中で生産性の向上が見込まれます。
このようなことを「スマート農業」と呼び、IoTやAIを活用することで、徹底した温度・湿度の管理を行なっています。

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フードテックの種類:流通

農業や漁業などで収穫した食材を市場や飲食店や消費者に届けるためのサービスです。
生産者と飲食店を繋ぐプラットフォームや、生産者が直接消費者に販売できるECサイトなどが代表的です。
農業でも、漁業でも、多くのプラットフォームがあり、飲食店のPOSシステムなどと連携しています。

フードロスになる食材を再度流通させることで、二次活用しているケースもあります。
日本で唯一の特殊冷凍テクノロジー専門会社として、デイブレイクが展開するHenohenoではフードロスになるはずだった高級フルーツを特殊冷凍し、オフィス向けに福利厚生メニューとして提供しています。
現在ではAmazonで購入することもできます。

飲食店から消費者に商品を提供する形も変化してきています。
従来、消費者が飲食店に出向いて、客席で食事をすることが一般的でしたが、近年はフードデリバリーも浸透してきました。
UberEatsをはじめとして、フードデリバリープラットフォームの企業もあります。

フードデリバリーの発展に伴い、客席を設けないフードデリバリーに特化したゴーストレストランという業態も新たに誕生しました。
フードデリバリーのプラットフォームのみで販売をし、実店舗を持たないため、気軽に低コストで飲食店をオープンできます。

フードテックの種類:調理

最新の調理の仕方や調理器具や調理ロボットも注目で、スマート家電も該当します。

例えば、調理器具では分子ガストロノミーが注目されており、食材を粉砕し、泡にすることで、味や香りを損なわない調理を可能にしています。
「液体窒素」を用いた食材の粉砕や、「大豆など植物性の材料を使った食肉性の食べ物の再現」ができます。

他にも、シャープは調理技術や中食・外食で「ヘルシオデリ」というサービスを提供しており、「ヘルシオ」向けのプロが作った料理キットを宅配するというもので、温めるだけでプロの味が家庭でも楽しめます。

また、クラシルやクックパッドのようなレシピサービスもフードテックの一つに該当します。
レシピのデータを溜めて、共有やリコメンドを活用するのは、フードテックの先駆けです。

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フードテックの種類:次世代食品

新しい食材の開発も進んでおり、「次世代食品」や「健康食品」と呼ばれています。

「次世代食品」
ビヨンドミートでは、大豆やエンドウ豆を活用して本物の肉そっくりの商品を提供しており、ベジタリアンにとても人気です。
この会社にはビル・ゲイツ氏やレオナルド・ディカプリオ氏などが出資していることからも注目が集まっています。

ミドリムシを粉末にしてクッキーやドリンクにした製品、必要な栄養がすべて採れるグミなど、新食材と呼ばれるものです。
他にも、イスラエルのハーゴル・フードテックは、バッタを活用したプロテインを開発しています。
通常はハチの幼虫やイナゴなどで、昆虫の形が残ったままですが、この商品は粉状のため昆虫食はありません。昆虫は低カロリー・高タンパクで、ダイエットに適しています。

「健康食品」
ベースフードは、健康食の分野で「簡単」「おいしい」「からだに良い」ものを提供し、バランスの良い食事に戻すことで食のトレードオフをなくすことを目指している「完全栄養食品」です。
ベースパスタは厚生労働省が推奨する身体に必要な栄養素31種を練り込み、不足する栄養素を手軽に1食で補えます。

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フードテックの種類:その他

スマートタグで食品の賞味期限を管理することもできます。
食材と関連付けたIoTタグを専用の容器などに付けて冷蔵庫に入れると、時期になるとタグが光り賞味期限が近いことを知らせてくれます。

以上、説明したようにフードテックと言っても領域が多種多様です。
しかし、統一しているのはテクノロジーを活用して、食料の生産性の向上や栄養化を高めると同時に、フードロスや飢餓の問題を解決することで、それを世界規模で実施しなければならないことです。

このように使命感の高い産業ですが、我々の未来と密接に関わります。

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