店舗効率化・省人化

電子棚番の導入事例を紹介!小売業界における最新のトレンド

スーパーや家電量販店などの小売業界では、値段を表示するPOPの切り替えで多くの人員が割かれ、特に人材不足の店舗において深刻な問題となっています。
一方で、電子棚番を導入することで業務の効率化を図り、人材不足の問題を解決させている小売店も現れ始めました。
そこで今回は、国内の小売店における電子棚番の導入事例を紹介します。

ビックカメラで電子棚番の導入事例

大手家電量販店のビックカメラでは、電子棚番を導入して業務の効率化を進めています。
現在、多くの家電量販店では競合店の価格競争が激しく、お客様が店内で商品を見ながら、スマホでECサイトをチェックしている光景がよく見られます。
ちなみにビックカメラでは、ECサイトより店頭価格の値段が高いと、お客様は販売員に声をかけずお店を後にすることが多く、価格調査などの競合対策が必須です。
そのため小売店側は、曜日に応じて価格を頻繁に動かしながら、ECサイトと連動した店舗づくりが求められ、多いときで1日に数回のプライスカード差し替え作業が発生します。
店舗によっては数十万点の品ぞろえになるので、ビックカメラは従業員の手間をどうにか減らせないか、悩みを抱えていました。

そこでビックカメラは、2018年に実証実験として電子棚番を初めて導入しました。
さらに、2019年に新規オープンした5店舗にも導入し、2020年中に全店のプライス表示が電子棚番へ変更されます。
ちなみに実証実験の結果、売上・収益につながる一定の効果が見られ、ECサイトとの売価連動が可能になりました。
また、販売員の作業効率化にもつながり、接客にかける時間が増加したことでサービスの質が向上。

導入の際は、外部の電波から影響を受けずに棚札が正しく動作するのか、電波の乱立による誤作動が懸念されていましたが、問題なく安定して稼働できました。

ビックカメラに導入された電子棚番には、ECサイトの口コミ評価が表示される機能が搭載されています。
また、スマホを電子棚番にタッチさせると、ECサイトの商品情報につながり、お客様が気になった商品が即座にチェックできます。
さらに電子棚番を導入したことで、オンライン上での商品管理が容易になり、取り置きサービスのピッキングが効率化されました。

 

株式会社 主婦の店での電子棚番の導入事例

三重県内でスーパーマーケット7店舗を運営する「主婦の店」では、2006年から電子棚番を導入しています。
当時主婦の店では、価格競争が激しくなるにつれて生産性の向上が求められましたが、POPの付け替え作業で従業員が夜遅くまで対応するなど、課題を抱えていました。
また、新店の開店時に商品データの登録ミスが頻繁に起こり、レジ周りが混雑するといった問題も抱えていました。
そこで主婦の店は、紙の商品POPを電子棚番に切り替え、問題の解決を図ります。
すると、以前はPOPの付け替え作業で前日の夜から対応していたのが、導入後は当日の朝のみで対応でき、生産性の向上により粗利が1%改善。
また、売価違いによるトラブルがなくなり、登録ミスによるレジの混雑も解消されました。

さらに、初めは売価管理だけのシステムだったのが、本部システムとの連携で電子棚番に実績が表示でき、発注業務の効率化にもつながっています。
特に、電子棚番上に表示された数値で売上動向がわかるようになり、電子棚番は店長・バイヤー・従業員の間で、コミュニケーションツールとしての役割も担っています。

ノジマでの電子棚番の導入事例

家電量販店のノジマでは、2019年10月18日から、パナソニックの電子棚札システムを全店舗に導入しています。
POSデータと価格表示を連携させることで、店頭の価格表示を正確かつスピーディーに更新でき、作業ミスの削減につなげています。
また、ノジマに導入されている電子棚番は、1.6インチから7.4インチまで4種類の幅広いサイズバリエーションで、全店舗に約140万枚が導入されています。

アメリカでの電子棚番の導入事例

アメリカ大手スーパーの「クローガー」は、2019年に最新の電子棚番を導入しました。
マイクロソフトと協力して開発した電子棚番は、買い物客が事前に専用アプリをインストールしておくことで、来店前にチェックしておいた商品の場所が把握できます。
また、アプリで商品のバーコードをスキャンすることで、Amazon Goのようなセルフ精算も可能です。

 

今回紹介しました4つの事例のように、電子棚番は主に家電量販店やスーパーでの導入が進展中です。
また、外国語のサイトも同時に用意しておけばインバウンド対応も容易になり、クーポン表示などのプロモーション施策とあわせて相乗効果が見込めます。
そして電子棚番は、コンビニやドラッグストアでも採用されていくと予測され、スマホアプリと連動した便利な機能の追加も期待されています。
今後も小売業界では、電子棚番などのデジタル媒体が積極的に取り入れられ、消費者の満足度を上げる施策がさらに誕生することでしょう。

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