デジタルトランスフォーメーション

小売界を効率化するためのデジタルトランスフォーメーション

日本の小売業の歴史は長く、個人商店が江戸時代から始まり、百貨店や総合スーパーと大型化しながら、今ではドラッグストアやコンビニエンスストアなど多種多様な存在となっています。
小売業の市場はとても大きく、多くの雇用を創造していましたが、近年の労働者不足や高齢化もあり、IT化やデジタル化の流れがきています。
無人レジ・キャッシュレスサービス・在庫管理システムなどの店舗でのIT化、ネットショップでの買い物やデジタルマーケティングによる集客施策など消費者の行動も変わってきており、業界としてデジタルトランスフォーメーションが急務となります。

この記事では小売業界のDXに焦点をあて、効率化や省人化などについて説明します。

小売業界のデジタルトランスフォーメーションの特徴

小売業のDX化と言っても非常に幅が広く、集客やCRM施策や無人店舗やモバイルペイメントやAIによる画像認識など多岐に渡ります。
また、全てのIT化やデジタル化が全てのお店に該当するわけではなく、販売している商品やお店の規模によっても効果のあるDX化は異なります。

最近、話題の小売業の最新テクノロジーやDXの例を3つ紹介します。

小売業界のDX①:AI店員

人材不足が叫ばれる小売業界で大きな注目を浴びているのがAI店員です。
3Dやアニメーションで構成された画面内のキャラクターには人工知能が搭載されており、顔認識可能で声をかけると会話ができます。キーボードでも質問可能なユニバーサルデザインであり、様々な多国語にも対応できるのが特徴です。

主にカスタマーサポートの役割を果たし、「〇〇の売り場はどこですか?」や「お手洗いはどこですか?」など簡単な質問は人件費もかからずAI店員で事足ります。
さらにAI店員は機械学習により、答えられなかった質問を学習することができ、時間が経てば経つほど対応できることが増えていき、2台目以降にはデータも共有することができるため顧客データを漏れなく接客可能になります。

導入はまだまだ数える程しか例はありませんが、AI分野は近年最も研究が進む分野であり、人手不足が進み訪日外客数がどんどん伸びる日本では需要が上がることは間違いなく注目していくべき領域です。

日本ではソフトバンクが開発した接客ロボットのペッパー君も有名です。

 

小売業界のDX②:セルフレジ

2016年末、アマゾンがレジ無し店舗「Amazon Go」をアメリカで実証実験し、無人店舗が話題になりました。
2018年には一般客も利用できるようになり、2020年にはより生鮮食品にも強みを持った「Amazon go grocery」もオープンし、普及が進んでいます。

無人レジ導入のメリットはたくさんあり、一つ目は人件費の削減です。今までレジ専門で業務をしていた人々は他の「人間にしかできない業務」をすることができ全体的には人件費の削減になります。
二つ目はバーコードを一つ一つ読み取る必要がないため決済のスピードが早くなり混雑が緩和され、お店の回転率も上がります。三つ目はレジにおけるヒューマンエラーの防止ができます。レジ作業ではお釣りの受け渡しやバーコードリーダーの読み取りミスなどヒューマンエラーが発生しやすい場所ですが、無人レジの導入により防止することができ、結果的にレジ締め作業の時間も軽減することができます。

POSレジが比較できるサービス!レジチョイスを使って最適なPOSを見つけようレジやPOSを選ぶ際に比較や相談ができるサービス「レジチョイス」について紹介しています。...

小売業界のDX③:FRID

RFIDのメリットは無人レジだけでなく、品番や販売価格、カラー、サイズ、生産場所など様々な情報を記録することができるので無駄のないリアルタイムな在庫管理を徹底することができます。
棚卸作業などこれまで時間のかかっていた作業も一気に短縮することができます。

また、購入データをマーケティングに使用することもでき、日本ではまだ導入率は低いですがキャッシュレス決済を導入していれば、RFIDと組み合わせ、商品ごとにおける顧客の購買行動を分析することができます。

株式会社ビームスでは全商品約6000点にRFIDを装着することで約40時間かかっていた棚卸作業を約4時間に短縮することに成功しました。また適切な在庫管理が可能になったことにより販売機会のロスも防止できています。

RFIDはユニクロでも導入されています。印字するだけのバーコードに対して全ての商品にRFIDをつけるとなるとコストを心配されるかと思います。事実、単価は一つ100円程度と言われており全ての商品につけようと思うとかなりのコストになります。しかしユニクロが導入したことにより大量生産によるコスト低減が可能になり今では一つ10円程度となっており導入のハードルはかなり下がっています。

小売業の最新技術、RFIDとは?技術の特徴やメリットデメリット、導入事例のご紹介ユニクロやユナイテッドアローズなどに導入されているRFIDでの在庫管理や店舗オペレーションについての特徴やメリットデメリットについて説明...

小売業界のDX化のデメリット

これらのIT化に共通していることは「人がやっていた作業をITに代替している」という点で、その点において最も気をつけなければならない点は「セキュリティ面」です。
AI店員や無人レジにより、購入時に人がいなければレジにおける行動全てをお客様に任せることができますが、支払いの漏れや読み取りミスなど配慮する点があります。
支払い漏れのあるお客様特定するためカメラの設置や指紋認証機能を使うなどの対策もありますがいずれも費用のかかるものです。
また、キャッシュレス決済など支払い方法を限定し、個人データを特定することはできますが、日本でのキャッシュレス決済普及率は未だ20%程度で、支払い方法を限定することがお客様の満足度を下げる可能性もあります。

 

今回ご紹介したAI店員、無人レジ、RFIDはいずれもまだまだ普及率は低く、簡単に導入できるものではないかもしれません。しかし、人手不足が叫ばれる小売業界では注目必須の領域であることは間違いありません。

【小売業×IT】リテールテックとは?小売業のデジタルトランスフォーメーション(DX)小売業とテクノロジーを掛け合わしたリテールテックは接客、POS、キャッシュレス、販促物、ECなど幅が広く、それぞれの分野について説明しました。...