日本は超高齢化社会となり人口が減少傾向に向かう中、国内で消費を拡大することが難しくなっており、2014年より「観光立国」を目指して、観光客を世界から誘致し、国内で消費を促そうという狙いで次の日本の成長戦略となっています。
フランスは世界的な美術館や世界遺産、雄大な自然にも囲まれており大人気で、世界一の観光立国であり約30年間観光客数で不動の一位となっております。
日本への訪日外客数は2018年時点で約3000万人、フランスはその3倍の約9000万人です。
日本にはフランスに勝るとも劣らない独自の文化があり、温泉・和食・神社や寺・国土の約7割が森林という自然の多さなど観光客を惹きつける魅力はたくさんあります。
今後より観光客を誘致して行くために必要になってくるのが宿泊業の活性化で、全産業で労働者不足が叫ばれる日本において宿泊業でも課題です。
人を採用することが難しい状況の中で、デジタル化やIT化をし、省人化や効率化を目指す必要があります。
今回は宿泊業においてデジタルトランスフォーメーション をご紹介します。
宿泊業界のデジタルトランスフォーメーションの特徴
宿泊業と言っても、大規模ホテルや小規模ホテルや旅館や民泊など多くの種類があり、それぞれ許認可も違えば、運営方法も違います。
しかし、どのタイプでも予約管理や客室管理はクラウドを活用して行うのが標準化してきています。
宿泊業には予約管理・客室状況管理・フロント管理・顧客管理・データ集計・分析・帳票作成など様々な業務があります。
これらを一括管理できるものが「PMS(Property Management System)」と言い、ビジネスホテルやリゾートホテルなどでは高い確率で導入されています。
近年では「じゃらん」など外部の予約サイトや大手旅行会社の予約サイトからの予約情報を一元管理できるサービスのサイトコントローラーと連携して使う場合が多いです。
これらを連携することのメリットの一つ目は労働者の負担軽減することです。今まで電話や自社サイト・外部サイトなど様々なチャネルで管理していた予約を一元管理することで、付随していた事務処理などを大幅に削減することができます。
二つ目は集客率UPが可能で、「じゃらん」などの外部サイトを使えば今までよりも多くの人の目に触れることができます。さらに電話のみで予約を受け付けていた宿泊業者にとっては24時間365日予約を受け付けることができ、予約者にとっても機会損失を防ぐことができます。
三つ目はデータ活用で一元管理されたデータは今後のマーケティングのための大切な資産になります。お客様のアレルギー情報やリピート顧客の細かい情報など分析することができ、今後の戦略を練るのに役立てることができます。
オンプレ型・クラウド型・規模・カスタマイズ性の高さなど導入するならば規模や用途にあったPMSを選ぶ必要があります。
宿泊業界のDXでのIoTの導入
現在の宿泊業界では、労働者の不足や高齢化、それに伴うサービスレベルの低下などが問題になっています。
清掃ロボットを導入し、人間ができることは人間がやりロボットができることはロボットに任せれば大幅な業務効率UPになります。
ハウステンボスにある「変なホテル」では「ルンバ980」を公式ロボット掃除機として採用しており、6台導入しています。ローコストを売りにした効率化は大成功でして、開業当時には30人体制で運営していたのに対し、一年後には3分の1の人数で運営ができるようになったとのことです。
他にも現在は窓掃除ロボットである「ウインドウメイト(セールス・オンデマンド社)」や自律走行式業務用ロボット掃除機「RcDC(アマノ社)」など様々な掃除ロボットが出てきています。
また、業務用ウェアラブルデバイスを導入すれば今までどの部屋をどのタイミングで掃除すればいいかを目視で確認する必要なくなります。センサーによりリアルタイムに顧客情報を確認することができ、瞬時に清掃する部屋を判断できるため手待ち時間が無くなります。また作業終了などの報告もデバイス上で行えるため、同僚との連携にも無駄がなくなります。
国内需要が減少傾向にある日本にとって「観光業」は成長に欠かせない産業になります。それに伴い宿泊業界も今後も需要が伸びていくことが予想されます。
しかし、現在の日本の労働力不足・高齢化社会などの社会問題と向き合わなくてはせっかく来日してくれた世界からの観光客の方々に満足いただけない結果になってしまう可能性もあります。
予約管理システムやウェアラブルデバイス、清掃用ロボットなどのIoT機器。様々なIT化をしていき大幅な業務の効率化ができれば大きな日本の成長エンジンとなります。