ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングのJリーグチームの導入事例と問題点

日本ではプロ野球とJリーグが二大スポーツであり、両方の競技で2018年ごろからダイナミックプライシングによる変動価格でのチケットの販売が開始されました。
スポーツはチーム、試合時間、スタジアム(球場)、対戦カードによってチケットの売上が大きく変わり、集客にムラがあります。
集客にムラがあるということは需要が安定しないため、供給過多や不足が発生しますが、その場合でも常にチケットの販売価格が同じでした。
スポーツの場合は一人でも多くスタジアムに来た方が選手のモチベーションにも繋がりますし、飲食店やグッズなどの副産物の収益に繋がります。
このようなことがあり、試合や席ごとの需要に合わせてチケットの価格を変動させるダイナミックプライシングがJリーグにも導入され、最適価格で収益を最大化の実現に向けて取り組んでいます。

ダイナミックプライスのJリーグの導入例

Jリーグのチケットの価格は試合の主催のホームチームが価格を設定することができます。
そのため、会場、対戦相手、座席など試合によってチケットの価格が異なります。

2019年にJ1を優勝した横浜FマリノスはJリーグの中で一番早くダイナミックプライシングを導入しました。
2018年7月開催の日産スタジアムの一部の席とニッパツ三ツ沢競技場では全座席で適応されています。
ニッパツ三ツ沢競技場はスタジアムが大きくなくお客さんも多くはいらないためサブスタジアムとして利用していますが、毎回チケットが完売します。
ダイナミックプライシングを導入する前よりも高い値段でも完売しているため、合計の売上は向上しています。

ちなみに横浜Fマリノスでは早割で購入すればダイナミックプライシングの対象から外れます

名古屋グランパスやヴィッセル神戸やガンバ大阪なども2018年に一部試験的に販売を開始しました。
名古屋グランパスでは2019年は20試合のホームゲームが豊田スタジアムとパロマ瑞穂スタジアムで開催される試合のシーズンパスなどの一部を除いてダイナミックプライシングを導入しました。
Jリーグクラブの中で、デジタル施策がやや遅れをとっていましたが、ダイナミックプライシングにおいては先陣を切った形となりました。チケット代が最大2倍に跳ね上がり、シーズンチケットの売上げが上がりました。

川崎フロンターレも2018年にトライアルを開始し、翌年のACLグループステージでも実施などダイナミックプライシングを実施しました。毎試合満席になることの多いチームですので、ダイナミックプライシングの効果が出やすいチームです。

2019年になり、清水エスパルスやベガルタ仙台もダイナミックプライシングの導入を始めました。
清水エスパルスは2019年のホームゲーム6試合においてダイナミックプライシングを導入し、当日券においてもダイナミックプライシングが適応されます。
後援会チケットは元々一般会員10%、ファミリー会員15%となっていますが、先行販売においてもダイナミックプライシングが適応されるようです。

ベガルタ仙台はローソンチケット、CNプレイガイド、セブンチケット、LINEチケットはダイナミックプライシングの対象外となっています。ガチケ(Jリーグチケット)、チケットぴあ(WEB販売、セブン–イレブン、ぴあ店頭)、カーサベガルタがダイナミックプライシング対象です。
19年度は2億7,100万円の赤字を出したため、打開策としてのダイナミックプライシングの導入でした。

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ダイナミックプライスのJリーグの問題点

クラブによって対象となるチケットなどを分けていますが、一般のファンでチケットの値段が安いと言う事で、スタジアムへ行こうかどうしようかを迷っていた人が、チケットを購入しようとするときにチケット代が高くなり来場する機会を喪失します。
またチケットの価格の逆転現象が起きる可能性があります。例えば、A席とC席では通常はA席の方が高いですが、A席が人気がなくC席が人気があった場合にC席の方が価格が高くなる可能性があります。

試合が開催されるまでに色々な事態を変数として人工知能AIに学習させる必要性があり、これにより適正価格が導き出しやすくなるためより購入しやすい価格で売買される可能性が上がります。
安価の時期に購入して、値段が上がった頃に転売する転売屋が少なからず存在する事もあり、ダイナミックプライシングを導入しても適正価格での販売が行われづらいケースもあります。

 

2018年以降よりダイナミックプライシングの導入が進んできましたが、現段階で導入しているのはJ1全18チームのうち半分ぐらいです。
プロ野球やアーティストのライブでの導入が進んでいることを考えると、今後も増えていくことが予想できます。

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