デジタルトランスフォーメーション

小売業のデジタルトランスフォーメーションの現状と今後

無人店舗やセルフレジ、ECやデリバリーサービスなど小売業界において、IT化が進んできています。
10年前からは予想できないほど消費者からすれば買い物体験が便利になり、事業者からすると便利になった反面、サービスの多様化により複雑性が高くなったと思います。
この先10年でもっと消費者にとっては便利に簡単にお買い物ができる小売業は増えてくると予想できます。
本記事では小売業のデジタルトランスフォーメーションに特化し、現状と今後の展望について紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(Dx)とは何か?

「デジタルトランスフォーメーション」は「DX」と略されることもあり、経済産業省の定義は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」されます。

要するに今までの古いやり方やレガシーをデジタルの力で活用し、より効率的に効果的に変革しようとすることです。
これらの取り組みはIT業界だけでなく、小売業にも当てはまります。小売業の場合、ヒトモノカネ情報が流通し、サプライチェーンの企画生産流通販売までをデジタル化することが今の時代には必要です。

別の視点では、社内のサプライチェーンや各業務のIT化やデジタル化と同時に、オンラインショップなどのような顧客のお買い物の仕方やマーケティングのデジタルトランスフォーメーションが必要です。

小売業のデジタルトランスフォーメーションの課題

大都市圏にあるコンビニエンスストアやスーパーマーケットの店員さんの多くは外国人労働者に依存しており、今後ますます労働者人口の現象が懸念されます。
今後、労働者不足を解決するために賃金の値上げ競争が勃発して、それぞれの店舗の利益率低下を招く可能性も高いです。

小売業界は業務効率化による働き方改革を目指して、人材の補完をICTによるインフラを導入活用し始めています。
さらに近年はインターネット通販業界が台頭しており、実店舗ではなくEC(オンラインストア)で売上を伸ばすように取り組む企業も増えてきています。その象徴として、アマゾンや楽天などのECプラットフォームは今ではなくてはならないサービスになりました。

一方で店舗効率の改善などの伴うデジタルトランスフォーメーションの進歩は遅れていると言わざるを得ません。
一部の小売店でセルフレジや無人店舗が実証実験されていますが、汎用性の高いサービスではありません。
これらは技術力が高く、開発がまだ追いついていないことや導入コストが高いため、トライアルをするのも難しい状況です。また、小売業のキャッシュフロー構造の特徴として、商品を仕入れてから販売して、現金が手元に入ってくるまで時間を有するため、多額の資金を投資するのがなかなかできません。

小売業のデジタルトランスフォーメーションの事例

小売店のデジタルトランスフォーメションは店舗オペレーション、POSシステム、顧客管理、接客、ECなど多岐に渡ります。
小売業のIT化の総称をリテールテックと呼ぶことが多いです。

  • 在庫管理
  • 物流・配送
  • 無人店舗
  • セルフレジ
  • モバイルPOS
  • デジタルサイネージ
  • ストアロボット
  • 店舗管理
  • 電子POP
  • 電子タグ
  • 決済
  • 防犯ゲート
  • 画像認識
  • EC
  • ライブコマース

などがあります。

デジタルトランスフォーメーションと一概に言っても、AIやIOTやロボットやクラウドサービスなどいくつかのジャンルに分類できます。

大手ICTベンダー企業である富士通・NEC・日立製作所がビジネスモデルを構築し始めており、大手の場合は企画生産流通販売を一貫したサービスを開発して各小売業ごとに開発して展開しています。
スタートアップ企業などは上記のリストの一項目に特化したサービスやプロダクトを展開していることが多いです。

国内で全国展開している西友の親会社であるウォルマートの事例を紹介します。
既存の基幹システムを社内の超大型コンピュータから処理能力向上・専用の通信インフラから汎用性がある通信インフラに移行するためにクラウド・ソーシング化しました。
さらに、実店舗内ではAI(人工知能)ロボテックの活用を導入しています。ロボテックは自走ロボットによる画像のスキャンニング機能で商品棚の欠品確認を行います。また、従業員の研修向けにVR(仮想現実)ヘッドセットを活用して商品やサービス、顧客対応のトレーニングを開始しています。

続いて、有名なチョコレート販売のゴディバです。人気があるゴディバはリピーター顧客が多く、気に入った商品のパッケージを持参して、同じ商品を買い求めるケースが多くあるようです。
ゴディバの商品ラインナップは季節限定品・地域限定品があるために確認作業に時間を要して、顧客対応への影響と従業員の負荷が大きい状況でした。
ゴディバでは該当のパッケージを検索する仕組みを導入して「商品名・生産地・生産国・アレルゲン」を瞬時に紹介できる端末を導入しました。
店舗従業員から「該当商品の特徴や詳細をすぐに説明できるので、お客さまのお好みを探す際に役立ち、効率が上がりました。」との声が多くなっています。
顧客満足度の向上と、店舗従業員の生産性向上が実現し始めています。

小売業のIT化やデジタル化は幅が広く一概にデジタルトランスフォーメーションとしてまとめることは難しいですが、それでも小売業のDxは前進していくと思います。

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