「DX」や「デジタルトランスフォーメーション」という言葉を耳にすることが増えてきました。
業務や商品やサービスのIT化によるデジタルへの移行を意味する言葉ですが、この言葉はIT企業のみならず第一次産業や飲食店など今まで人が介入して行なっていた業務などにも関連しています。
「デジタルトランスフォーメーション」は、経済産業省によると「①デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」「②既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの」を表します。
飲食業界は会計時のPOSシステムや顧客管理システムなどはICT化されていますが、それ以外の業務はICT化がすすんでいません。
また、ロボットによる省人化なども導入が遅れている業界です。
今後、運営を持続・継続するために「デジタルトランスフォーメーション」による運営システムを根本から見直し・ICT化する時代が近づいています。
デジタルトランスフォーメーション(Dx)とは何か?
「デジタルトランスフォーメーション」は「DX」と略されることも多く、広義では「デジタルへの変換・移行」という意味合いで使われます。
旧態依然としてきた常識や枠組みにとらわれることなく、多面的にAIやIOTやクラウドサービスやICTを活用して革新的なビジネスへ移行させることです。
しかし、「デジタルトランスフォーメーション」によるシステム改革・技術革新は飲食業界では成熟していません。
2020年3月に無線電波の規格が「4G」から「5G」へ移行し、各々の企業・各々の飲食業営業店が導入している基幹コンピュータ・システムを「デジタルトランスフォーメーション」によって改革することが企業持続・継続するための手段になります。
飲食業のデジタルトランスフォーメーションの課題
現在の日本は生産労働人口の減少が顕著で、特に飲食業は特に人材不足が深刻です。
日本人の労働者だけでは従業員が充足することができず、2019年4月より特定技能ビザという外国人労働者へのビザの間口が広がりました。
人手不足の問題を採用活動で解決するのは限界があり、飲食業界は業務効率化による働き方改革を目指して、AIやIOTやクラウドサービスやICTの導入・活用し始めています。
現状の飲食業界に危機感を抱いた経済産業省は、2018年9月に、「デジタルトランスフォーメーション(DX)レポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」を発表しました。
このレポートは、
①既存基幹システムの老朽化に対して、デジタル市場の拡大とともに増大するデータ量の乖離が大きいこと。
②メインフレームの担当者の高齢化と世代交代の必要性があること。
③テクノロジーの進化に伴う先端ICT人材の不足であることです。これを5年後の2025年まで節目に改革するよう警鐘を鳴らしています。
2025年まで「デジタルトランスフォーメーション」に改革が実行されないときは、既存基幹システムを改新する人材がいなくなり、既存システムのブラックボックス化・データベースの活用ができない状況に陥り、業務運営に支障をきたすリスクが高まるようです。
飲食業はPOSレジスターが最新化されていれば、AIやIOTやクラウドサービスやICTの飛躍的進化に追随可能とは言えません。
店舗拡張・チェーン展開化して業務を拡大する目標を有する飲食業社は「デジタルトランスフォーメーション」を進める壁を乗り越えることで、企業の持続・継続に至ります。
飲食業のデジタルトランスフォーメーションの事例
飲食店のデジタルトランスフォーメションは店舗オペレーション、調理の効率化、予約や顧客管理など多岐に渡ります。
フードテックやレストランテックと一括りになることが多いです。
- 検索・予約・テーブル管理
- ウェイト管理
- デジタルメニュー
- オンラインオーダー
- デリバリー
- 電子決済
- 顧客管理
- 予約・テーブル管理
- 従業員教育
- 人員配置・勤怠管理
- 発注管理
- フードロス
- 店舗管理
- POS
- デジタルディスプレイ
- 調理ロボット
などがあります。
この中で一番必要な項目はPOSです。
従来はお客様の注文をお聞きして手書き伝票に記載して、口頭により厨房へオーダーし配膳し、会計時は手書き伝票を会計レジに入力する仕組みでした。
ファミレスなどはお客様のオーダーは専用の端末で入力して厨房オーダー・配膳伝票を発行し、会計は配膳伝票を入力して決済する仕組みがオーソドックスでした。
POSのイメージは費用も高く、場所もかさ張るイメージがありますが、現在ではタブレットを活用したPOSがあり、お客様のオーダー、厨房へのオーダー、会計を一連で操作可能になり、個人経営のような飲食店でも導入ができるようになりました。
クラウドカメラを導入した飲食店は営業店舗と管理事務所が離れており、飲食店の管理職は営業店舗のお客様状況を電話で問い合わせる状況でした。
営業フロアと厨房にそれぞれに確認を入れていましたが、店員さん・調理師さんは電話応対ができない状況に至ることがあり、効率的な確認にタイムラグを生じていました。
そこでクラウドカメラを営業フロアと厨房、店舗入口に配置して管理事務所でモニターできるように改善し、お客様混雑時に即座にサポート体制を組むことができ、スムーズな運用が実現できました。
設置したクラウドカメラは店舗入口に設置したことにより、営業店の防犯だけでなく地域の防犯抑止に貢献しています。
飲食業界には多くのテクノロジーがあり、省人化や効率化へデジタルトランスフォーメションする機会はたくさん残されています。