近年注目を集めている新しいビジネスモデルにD2Cがあり、これの特徴の一つに代理店や仲介会社を介さずに全て自社で行うことが挙げられます。
商品企画から生産、マーケティングや物流までも独自で行い、自社で内製するのがD2Cの基本的な考え方です。
多くの企業なら生産は生産工場、マーケティングなら広告代理店、物流なら卸売業者を介して行なっていたことを自社で行うため、一連の流れやバリューチェーンを把握する必要があります。
この記事ではD2Cに必要なバリューチェーンの流れと詳細を説明します。
D2Cのバリューチェーン
D2Cはメーカー&小売業の要素を持ちながら、ITやマーケティングを駆使して事業展開している企業が多いです。
商品の企画から販売して消費者の手に届くまでには多くのフローややるべきことがあります。
ブランド戦略 | ブランドコンセプト |
ブランド施策 | |
商品戦略 | 商品企画 |
原価設計 | |
価格設計 | |
SKU設計 | |
販売戦略 | 送料原価 |
送料無料バー | |
CRM戦略 | 有料顧客の定義 |
有料会員プログラム | |
コミュニケーション戦略 | PR設計 |
広告設計 | |
広告運用設計 | |
オペレーション設計 | 物流設計 |
ECサイトのUIUX | |
カスタマーサポート |
大枠の流れは上記のようになります。
D2Cのバリューチェーン:ブランド戦略
D2CとはDirect to consumerの略で、直接顧客と接点を持ちコミュニケーションを取ります。そのため、ブランドからのメッセージもダイレクトに伝わるので、ブランディングは重要要素です。
D2Cの顧客はブランドの物語や背景に共感して商品を購入する人も多いので、ブランドからのメッセージを丁寧に伝えることが必要です。
ブランディングをする上で大事なのが、顧客のブランドへのロイヤリティ(愛着)を高めることで、顧客のロイヤリティが高くなると、顧客が定着化し、サブスクリプション(定期販売)なども可能になり、収益の安定化が見込めます。
D2Cは店舗を持たずにインターネットのみで顧客との接点を作りますので、ブランドを作るのがとても難しいです。
D2Cのバリューチェーン:商品戦略
いい商品を最適な価格で顧客に販売して、利用してもらい満足してもらうことがD2Cのはじめの一歩です。
D2Cはインターネットやデータを活用して、顧客エンゲージメントを高めることが重要な要素ですが、物販をしているのでいい商品を作ることが前提条件です。
どんなにマーケティングで集客しても、商品がよくなければリピーターにはなりませんので、穴の開いたバケツに水を注ぐような行為になります。
市場で需要がある商品を見つけ、顧客のニーズに応える商品を作るためには、企画力だけでなく商品を生産する力も必要になります。
D2Cでは立ち上げ時などはOEMや委託業者に外注して生産することもありますが、商品の品質の維持に注意が必要です。
D2Cのバリューチェーン:販売戦略
D2Cは自社ECで販売することがほとんどですが、そのほかにもECプラットフォームや店舗などで販売することもできますので、販売チャネルの選定をします。
店舗を構えると家賃やスタッフの人件費などがかかり、利益率が悪くなるのが課題です。
一方で、ECサイトに出品したら売れるわけではなく、UIUXの工夫やサイトのトラフィックやPVの分析など常に改善が必要です。
また商品を届けるまでが役目なので、物流体制やカスタマーサポートなども重要になってきます。
物流は費用も多く、D2Cの中では最も重要な様相といっても過言ではありません。
なぜかというと、在庫管理や商品管理、梱包などなどがあり、顧客に渡る前の最終業務です。
ECサイトの口コミなど見ると物流に関するコメントは意外と多く何かしらと不満を抱えている方がたくさんいます。
D2Cのバリューチェーン:CRM戦略・マーケティング戦略
D2Cにおいて、顧客のエンゲージメントの維持や継続的に利用していただくサブスクリプションにすることが重要になってきます。
そのために、マーケティングも全体に対して行うマスマーケティングと顧客ごとにパーソナラタイズしたCRM施策があります。
マスマーケテイングではより多くの人に商品やサービスを伝えるために行い、、CRMはマスマーケティングで獲得した顧客に対して、より密度の濃い関係性の構築を行います。
どちらも重要なマーケティングになりますので、プロダクトローンチや認知度が低い場合はマーケティングを行い、ある程度コアなファンができ始めたら両方を行うようにしましょう。
以上が、簡単になりますがD2Cのバリューチェーンで一社で行う場合もそれぞれの部署に専門家をアサインする必要があります。
一方で、バリューチェーンを内製化することができれば競合から模倣されることもないため、より大きなビジネスになり得ることが予想されます。