人手不足が叫ばれる現代において、小売業界ではクリック&コレクトと呼ばれる仕組みが注目されています。
米国を中心とする欧米で普及し始め、現在では世界の主流となっているクリック&コレクトは、日本でも採用する小売店が増えてきました。
そこで今回は、クリック&コレクトについて紹介しながら、今後の展望について解説します。
クリック&コレクトとは
クリック&コレクトとは、ネットで注文した商品を自宅以外の場所で受け取るショッピングスタイルのことです。
配送コストが抑えられるため費用対効果が高く、2016年頃から欧米の小売業や飲食業で急激に普及しました。
クリック&コレクトではECサイトで商品を購入した後、宅配ボックスや実店舗などのピックアップポイントにて、消費者自身が商品を受け取ります。
深刻な人手不足が懸念される物流業界において、配送の手間が軽減される取り組みとして期待されています。
またクリック&コレクトは、事業者・消費者の両方にもメリットが多い仕組みです。
クリック&コレクトの消費者メリット
クリック&コレクトの消費者メリットは、主に3つあります。
- 好きなタイミングで商品を受け取れる
クイック&コレクトの消費者メリットは、まず「好きな時間・場所で商品を受け取れる」ことです。
従来のネット通販だと、商品の受け取りのために自宅待機する必要がありますが、クイック&コレクトでは自分の都合の良いタイミングで、希望する場所で商品を受け取れます。
日中働いている1人暮らしの方に便利なサービスで、国内では主に「コンビニ受け取り」の形式で導入されています。
ちなみに海外だと、実店舗や地下鉄の駅に設置された専用ボックスで、注文した商品を受け取るのが主流です。 - 受け取りまでの時間を短縮できる
次いで、クリック&コレクトの消費者メリットとして「買い物時間を短縮できる」ことが挙げられます。
レジ待ちの列に並ぶ必要がなく、代金の支払い処理がオンラインで完結するので、忙しい現在人の間で急速に普及しました。
クリック&コレクトの事業者メリット
クリック&コレクトの事業者メリットも、主に2つあります。
- 物流コストが割安
まずクリックコレクトの事業者メリットは、「物流コストが割安」という点です。
ヤマトや佐川などの代表的な宅配業者を小口で使うと、どうしても配送コストが割高となってしまい、ECサイトの導入をためらう事業者も存在します。
一方、自社が持っている既存の物流網を利用するクリック&コレクトでは、通常の仕入れとともに、注文商品を店舗にまとめて納品することで、配送コストの削減が可能です。
また送料無料といったサービスの提供や、受け取りタイミングの利便性が向上するため、顧客満足度が上がるというメリットもあります。 - 店舗への集客効果
クリック&コレクトの事業者メリットは「店舗への集客が見込める」点です。
自宅ではなく実店舗で商品を受け取ることで、消費者は店舗へと足を運ぶので、自然に集客へと繋がり売上アップが期待されます。
実際に2,000人の米国人を対象とした調査で、クリック&コレクト形式の買い物をする消費者の85%が、商品の受け取りのために店舗を訪れた際に、その場で別の商品を購入すると回答。
ネット上から店舗への集客ができるクリック&コレクトは、小売店を経営している多くの事業者から注目されているシステムです。
クリック&コレクトの懸念点
ただ海外で主流となったクリック&コレクトには、日本の宅配便が配送に対応できるのか、という懸念点もあります。
宅配ドライバーの人手不足が顕著となった国内の流通業界は、ECショップがさらに増えたときに、これまでどおり安価で質の高いサービスを提供できるのかが疑問視されています。
また配送商品が増えた際に、コンビニ受け取りや駅の宅配ロッカーが物量に耐えられるのか、といった問題も指摘されているため、国内でクリック&コレクトが普及するには時間が必要です。
ここ数年でクリック&コレクト型の消費は、小売り分野で大きな伸びを示しています。
特に消費者は、オンラインショッピングの利便性に魅力を感じながら、配送の待ち時間を短縮できるクリック&コレクト型のスタイルに移行していくことでしょう。
今後は、好きな時間・場所で商品を受け取れるクリック&コレクトが主流になると予測されています。