小売業は店舗に商品を陳列して、お客様が欲しいものを選び必要に応じて接客をして販売に繋げる方式をとっていました。
長い間このような小売業の形態でしたが、ECやオンラインショップの発展や消費者行動の変化で小売業に求められるものも変化してきています。
その小売業界において、商品を販売をメインとせず、商品を陳列して多くの消費者に体験してもらうモデルの小売業のb8taについて紹介します。
RaaSのb8taとは
RaaSはRetail as a Serviceの略であり、小売業が保有する顧客や販売データとテクノロジーを組み合わせ、サービスとして開発提供を行うことです。
b8taはRaaSを代表する企業であり、「Retail designed for discovery」をミッションで、小売店は新たな発見と出会う場所とし、
ソフトウェアと分析プラットフォームを提供しています。
b8ta(ベータ)は2015年にアメリカのシリコンバレー生まれのRaaS企業で、アメリカに約25店舗ドバイに1店舗あり、今まで1,000以上のブランドが出店し、5,000万以上の消費者が来店し、商品と接してきました。
アップルストアのような整然とした店内に設置されてテーブルに並ぶガジェットが商品が1つずつ専用の台の上に陳列され、その製品を説明するためのタブレットが商品の横に設置されています。
b8taの取扱商品はキックボードやVRやIoTなど最新のガジェットやアパレルなどで、主にD2Cブランドや小規模生産をしており、まだ有名になる前の商品や製品のβ版(ベータ)を展示しており、「最先端のアイテムをチェックするならb8ta」「D2Cブランドの発掘はb8ta」と言われるほどです。
b8taの特徴
b8taには必要最低限の人員のみを配置し、商品の説明や価格表示はタブレットが行い、店内での顧客の行動のデータを収集しています。
何人のユーザーがその商品を見たか、ユーザーが説明をどの程度読んだのか、動画をどこまで観たのかなどといった情報を収集し、Web解析ツールの実店舗版です。
出品者は興味を持った顧客数、気づきを得た顧客数、実際に手に取って試した顧客数、そして販売数の定量的なデータを得ることができます。
定量的な情報だけでなく、店員との会話や顧客からの質問、購入意向、買わない理由は何か、といった定性的なデータの入手も可能です。
b8taではアパレル店のように従業員が積極的に話しかけてくることないので、ガジェット好きはゆっくりとお店を楽しむことができます。
この小売店のモデルの鍵となるのが、店舗内の天井にある大量のカメラです。
あらゆる角度から顧客の行動や動きを認識して解析しており、どの商品をみて試したかなどを自動的にリアルタイムに測定して、企業にフィードバックをしています。
b8taのビジネスモデルとは
b8taのビジネスモデルの特徴は商品を販売せず、プロダクトを展示したり分析データを提供するすることで収益を得ています。物販を中心とした「モノ」から「コト」を提供する小売店へと変革しようとしています。
b8taも店頭で販売を行う商品もありますが、それらの売上のレベニューシェアなどではなく、ブランドやメーカーから月額固定の出品料を徴収するというビジネスモデルです。出品者はb8taで商品が販売できた場合もマージンを支払う必要がなく、売上は100%収益になります。
b8taは月額のサブスクリプションモデルを採用しており、店舗の従業員の採用や雇用、トレーニングやシフト管理、在庫管理、物流、POSなどの小売店を行うために必要な全ては付帯サービスとして月額の出品料金に含まれています。
料金は店舗や展示場所や期間によって異なりますが、月1000ドル~2000ドルが相場です。
サンフランシスコのb8taストアには現在130の製品が並び、毎月1日に商品が入れ替わり、店舗のスタッフは製品入れ替えまでにその製品に関するあらゆることを学びます。
日本では有名の接客ロボットの「ペッパー」もアメリカに進出する際にテストマーケティングとして、b8taを活用しました。
b8taの日本進出は?
シリコンバレー発でアメリカで人気のb8taが2020年夏に新宿と有楽町に進出予定です。
b8taは株式会社丸井グループ、三菱地所株式会社、株式会社カインズ、凸版印刷株式会社など日系企業から資金調達をしており、日本進出も本腰を入れています。
日本への参入について、創業者のPhillip Raubは「日本から多くのお客様がアメリカのb8taを訪れました。トレンドに敏感な消費者の多い東京への出店は楽しみしております」と述べています。
b8taは実店舗のマーケットプライスとして、出品者と小売業の新たな業態を構築しています。